生物学・科学に関する雑感。

現在ウィスコンシン・マディソンに研究留学中


2010年11月18日

事業仕分け第3弾後半

こちらは夜中ですが、GCOEなど、大学関係の予算の仕分けをネット中継で見ています。かなり切れますが、何度もリロードして見ている状態。肝心のGCOEの結論部分を聞き逃しましたが、一割以上縮減ということで合っていますか?再仕分けにかけられたにしては、良く踏みとどまったと言うべきでしょうか。

文部科学省の方々も、予算を切られまいとして奮闘していますが、「地域・社会の求める人材を養成する大学等連携事業」など、かなり厳しい事業があるのも確か。結局のところ、大学の構造的な問題を放置したまま、細かな課題に対してそれぞれ対処療法的な(そしておそらくあまり効果的でない)政策を続けてきたことが問われているのではないでしょうか。短い時間とはいえ、事業仕分けでもなければ、このような個々の事業に対して、国会議員や有識者、官僚が公開の場で議論するようなこともなかったと思いますので、それなりに意義はあったのではないでしょうか。良く聞こえなかった部分もあるので、あとでまとめの資料が出てきてから、もう一度中身を見てみたいと思います。

また、説明者の方々(政務官と官僚)にも、ぜひ名札をつけて頂きたかったです。「説明者」っていう名札は、あまり意味がないような気が。
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2010年11月12日

BlastStation

自分のハードディスクに保有しているシークエンスに対してBlastをかけるのに便利なソフトを発見し、最近はこれを使っています。WindowsにもMacにも対応しているようです。

BlastStation-Free
http://www.blaststation.com/freestuff/ja/products_bsfree.html

検索結果は視覚的に表現されるし、個別の配列も簡単に取得できます。これは便利。ただしユーザー登録が必要です。
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2010年11月02日

近況

このところの懸案だった原稿をついに脱稿。11巻構成の巨大シリーズの、ごくごく一部です。私の担当分15ページでこれだけ苦しむのだから、本一冊書いた水嶋ヒロは、それだけで十分尊敬に値すると思う。

ゲノム読みはやや進んで、現在第1弾のアセンブリが出てきた段階。300bpの断片の両側から75bpずつ読んだものなので、やはりアセンブリに難あり。まだひとつひとつのコンティグが小さく、あまり使い物になりません。第2弾として、今週から来週にかけて、メイトペアという方法で、5kbの断片をライゲーションして環状にし、それを再び細断してから、ライゲーションのつなぎ目付近を両側から36bpづつ読むということをやります。そうすると、5kb近い断片の両側の配列が手に入るので、これを第1弾のシークエンスと混ぜてアセンブルすることにより、より大きなコンティグが作れる…はず。この方法ができることにより、シーケンスのリードの長さはあまり問題ではなくなって、454の優位性が弱まったという気がします。これでどんな生物でもホールゲノムショットガンで、1ランか多くても数ランで終わってしまうようになりました。

メーカーによるメイトペア法の解説。
http://www.illumina.com/technology/mate_pair_sequencing_assay.ilmn

Blastを自分の手持ちのデータに対して行うため、NCBIからblastをダウンロードしてセットアップ。Windowsでは、BioEditというソフトでローカルBlastができるようですが、Macだとターミナルからコマンド入力せねばなりません。なんかプログラマーみたいでかっこいいですが、使いこなしていないので、ヒットが来ないときに、本当に相同な配列が無いのか、自分が悪いのかよくわかりません。ラボにインフォマティックスのできる人が居るといいのですが。日本の統合TVには、かなりお世話になりました。

統合TV。これは多言語で世界展開すべき。うちのラボのアメリカ人も見ています。
http://togotv.dbcls.jp/
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2010年10月19日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 4

あと数時間で締め切りです!またパブリックコメントを書いていない方はぜひ。

http://seisakucontest.kantei.go.jp/
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2010年10月15日

ショウジョウバエにおける体色と模様の進化

最近書いた総説の宣伝をするのを忘れていました。

越川滋行 (2010)
ショウジョウバエにおける体色と模様の進化
生物科学 62(1): 19-29

昨年の進化学会で産総研の二橋さんと、生物の体色と模様に関するワークショップを企画させていただきました。その縁で二橋さんが生物科学で特集を組んでくださり、4人の講演者がそれぞれのトピックについて総説を書いています。

興味のある方は,個人的に連絡をいただければ、私の執筆部分の原稿をお送りすることもできます。また、雑誌のオンライン販売もあるようです。
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2010年10月12日

Hoxは何の略?

いま、ある原稿を準備しているのですが、Hox遺伝子群のHoxって、何の略だったかはっきりわからず、80年代の文献をいろいろ漁っています。ショウジョウバエの場合は、発見後しばらくの間はAntp complex(とUbx complex)とか、Hom-Cなどと呼ばれていたので、Hoxというのは明らかに脊椎動物から出てきた言葉です。

現状でたどり着いた最も古い文献は、

Homeo box gene complex on mouse chromosome 11: molecular cloning, expression in embryogenesis, and homology to a human homeo box locus.
Hart CP, Awgulewitsch A, Fainsod A, McGinnis W, Ruddle FH.
Cell. 1985 Nov;43(1):9-18.

”Hox-2 (the second homeo box region described in the mouse genome)" と明記されているので、HoxのHはhomeoの頭文字、oxはboxの語尾ということで大丈夫でしょうか。

いまではHox遺伝子以外にも、homeoboxを持っている遺伝子は沢山知られているので(homeobox 遺伝子と呼ばれている)、なんだか適切な略語ではなくなっている気がしますが。

ついでに、脊椎動物ではよくxで終わる遺伝子名があり、これらはhomeoboxを持っているような気がしますが(未確認)、だとするとxはhomeoboxから一文字だけ持ってきているということ?
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2010年10月11日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 3

さて…少々古いですが、予算を切りたい財務省サイドの見解がよくわかるインタビュー記事がありましたのでリンクしておきます。あちこちで紹介されているようなのでご存知の方もいると思いますが、まだ見ていない方は是非。あちらサイドが大学や研究と予算の関係についてどう考えているのかよくわかります。

真の教育、研究水準の向上につながる大学改革とは
http://www.rieti.go.jp/jp/special/dialogue/07.html

文教系の人々が思っていても言いにくい事をけっこうグサッと言っています。GDP比で3.5%という日本の教育予算はOECD平均で最低水準とされるけれども、実は子供の数も少ないのでその分を補正すると子供一人あたりの教育予算はOECD平均並みである、という主張から始まり、大学の機能分化(教育か研究への特殊化)の必要性、古い研究分野(を担当している部局)の整理の必要性、学長の選考方法や経営能力の問題などなど。

さすが財務官僚というか、まるで大学予算を切れば切るほど大学が良くなるかのような口ぶりですが、こういう論調にも有効に反論できるようにならなければいけません。
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2010年10月10日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 2

政策コンテストについて勉強中。

例によって、官邸の思いつき(そしておそらく背後には財務省)によって行われる政治ショー兼、予算削減祭りであります。事業仕分けでは、我々研究者コミュニティーも実害を被り、また長期的視点を欠いた浅はかな見せ物の構造に憤りを抱いたものですが、ゲームが始まり、そこに放り込まれてしまった以上、できるだけ無傷で、できれば良いスコアで切り抜けなければいけません。

今回の政策コンテストは、正式名称「元気な日本復活特別枠」。来年度概算要求について、各省が今年度比で一律10%削減、その削減相当額を新たな要望に振り分けることができ、その採否は政策コンテストで決める、ということのようです。削減を10%以上行った省庁は、その余計にがんばった分(例えば11%削れば1%)の3倍(この例だと3%相当額)を要求することができるそうです。これによって、削減をがんばらせようという意図ですね。

まずは各省庁に削減項目と要望項目を出させ、要望項目それぞれについてパブリックコメントを募集し、それらを「参考に」ししつつ、国会議員や民間有識者による「評価会議(仮)」によって政策の優先順位を検討したのち、最後は総理大臣が決定する、ということです。

この手法の問題点はいろいろありますが、そもそも各省庁一律10%削減というのは乱暴な話で、予算の柔軟性がもともと低い省庁(人件費の割合が高い防衛省など)もありますし、教育研究のように削ると末代まで悪影響が及ぶであろう分野もあります。また、国民の意見を聞いて決めたのだからという、予算削減のアリバイに使われるのは必至です。また、「有識者」をどのように選ぶのかも不透明で、事業仕分けの時のように、事情をおわかりになっていない方々が紛れ込むのもほぼ確実だと思われます。

とはいえ、直接に国民の声を反映させるチャンスがあるという意味では、何もやらないよりはいいのではないか?いずれはきちんと制度化して、批判を受けつつ問題点を修正して行けばいいのではないか?という気もいたします。また、自分が関心を持っているあるいは必要と思っている事業について応援できる(しないと切られるのでせざるを得ない訳ですが…)だけでなく、不要と思われる分野(明らかなバラマキ…)について批判できるというのも重要な点かと思います。

http://seisakucontest.kantei.go.jp/index
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2010年10月09日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために

日本政府は政策コンテストなるものをやっているそうですね。要は、ぜんぶ削りたい予算なんだけれども、どうしても国民が望む事業は残してやってもいいよ、というコンセプトなわけですね。従来計上されていた、教育・研究関係の予算がこの枠で論じられること自体、教育・研究に対する民主党政権(あるいは財務省)の無理解を示していると思いますが、とにかく、今回の予算編成で削らせないためには、多くの「国民の声」を寄せるしかないようです。

「元気な日本復活特別枠」政策コンテスト
http://seisakucontest.kantei.go.jp/

特に私が関心を持っているのは「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ」(学振PD、テニュアトラック関連)ですが、他にも日本の大学関係者であれば「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」(いわゆる運営費交付金関連)にも関心を持たれているのではないでしょうか。

例によって、パブリックコメントの「数」が政策決定に影響を及ぼす可能性が否定できないので、とにかく短くてもいいから、コメントを寄せることが重要だと思います。私もこれから書きます。

このエントリは、優秀な後輩であるあさのさんのブログに触発されて書きました。
ワニの庭
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2010年08月13日

ゲノムプロジェクト始動

学内のバイオテクノロジーセンターの協力により、ついにDrosophila guttiferaのゲノムを読むことになりました。

機材はIllumina、ペアエンド法で、1種につき2レーン、24million readsを読む予定で、だいたい10×くらいのcoverageになるはずです。

コストは、ハワードヒューズが買った学内の機材を使うため思ったよりかなり安めで、だいたい5000ドル/種くらいに収まりそうです。とりあえずうちのラボから年内くらいをめどに5種のショウジョウバエを読む予定です。時代は変わったもんだ…。

先ほど、バイオテクノロジーセンターの人たちと会議をして、月曜までに1種のDNAを用意するように言われました。出来るだけキレイに抽出したオスのDNAを15マイクログラムくらい用意すればいいそうです。来月末くらいにはde novoアセンブリが上がってくるはずで、guttiferaはその出来具合をみつつ、10月から11月くらいにかけて、抽出からアセンブリまでいく手はずです。
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2010年07月28日

進化のなぜを解明する

進化のなぜを解明する
ジェリー・A・コイン(著), 塩原通緒 (翻訳)

進化のなぜを解明する

進化のなぜを解明する

  • 作者: ジェリー・A・コイン
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2010/02/04
  • メディア: 単行本




特にアメリカではいまだに進化論に対して否定的な人たちが多いため、このような「進化の証拠」を提示する本は頻繁に出版されます。紹介されている研究も比較的新しいので、なかなか参考になります。特に有孔虫や放散虫の形態の進化を、化石で数百万年に渡って追跡した研究の話はとても印象に残りました。全体として、淡々としていながらもバランスの良い記述で、ダーウィン年に広く読まれるべき作品だったのだと思います。原著は2009年発行で、原題は「Why evolution is true」。

(ちなみに…この著者は私の属する研究グループとは折り合いの良くない方ですが、そして、オブラートにくるんだとしてもイマイチとしか言いようの無い論文を書かれている方ですが(過去には名作もありますが)、この著書の評判は悪くないようです。というか面白いです。)
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2010年07月27日

Evolution of the tan locus contributed to pigment loss in Drosophila santomea: a response to Matute et al.

Evolution of the tan locus contributed to pigment loss in Drosophila santomea: a response to Matute et al.
Rebeiz M, Ramos-Womack M, Jeong S, Andolfatto P, Werner T, True J, Stern DL, Carroll SB.
Cell. 2009 Dec 11;139(6):1189-96.

さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、とりあえずはこのシリーズの最後となる論文です。

なお、これまでに、関連するエントリを4つ書いてきました。

Lachaise et al. 2000
腹部に着色の無い種、Drosophila santomeaの発見。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/135297424.html

Carbone et al. 2005
QTL解析により、着色の喪失の原因となった主要なQTLにあたりをつけた。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/135402987.html

Jeong et al. 2008
最大効果QTL近傍にあるtan遺伝子が、QTLの正体である事を示した。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/145571102.html

Matute et al. 2009
melanogasterの突然変異系統とsantomeaの交配から、上記の論文の結果に疑義。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/145659375.html


この論文では、Matute et al.による批判のどこがまちがっているか、完膚なきまでに反論しています。

C研からJeong et al. 2008が出る前から、実はDS研ではsantomea-yakuba問題をQTL解析の精度を高める事により解決しようとしており、C研のCandidate gene approachよりも時間はかかるものの、先入観によるバイアスの無い、実直なデータをとっていたのでした。彼らの手法は、santomeaとyakubaを掛け合わせ、腹部に着色を持つ子孫にさらにsantomeaを掛け合わせ、ずっとこれを繰り返す事により、重要なQTL近傍のみyakuba由来で、その他のゲノム領域はすべてsantomeaという個体を作り出すというものです。

こういう系統をintrogression lineと呼ぶそうですが、これにより、最大効果を持つQTLの場所を29遺伝子を含む領域にまで狭める事に成功し、この領域のほぼ中心に、tan遺伝子が残っています。そして、Matute et al.の調べた、melanogasterでの欠失領域は、ひとつを除いてすべてこの領域の外にあるということがわかりました。つまり、彼らのデータの大部分は、関係のない領域を調べて、表現型に効果がみられないという、いわばあたりまえのネガティブデータだったわけです。

さらに、Matuteらの表現型のデータは、ちょっと計算を操作して、さもtan遺伝子の役割が小さかったかのようにしています。表現型をきちんと比較しようにも、対照群となるべき(体色に関して)野生型のmelanogaster(Basc)とsantomeaの雑種で、これが着色がおこらずにまっ黄色なものですから、melanogaster(tan)とsantomeaの雑種が同じくまっ黄色で、違いが検出しにくいのです。なのに、tanの効果を算出する時の分母には、melanogasterとsantomeaの着色の違いを用いていて、要は割り算の分母を不当に大きなものにすることで、tanの貢献度を不当に小さく算出していたのです。

結論としては、tan遺伝子(のcis制御領域)は、おそらく最大のQTLの正体であり、その変異がsantomeaの腹部の着色の進化に主要な役割を果たしていた、というものです。そして、同じデータでも、その取り扱いにより、人はいかに間違った結論を導くかというケーススタディーとして今回の論争を総括しています。
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2010年07月26日

Phenotypic robustness conferred by apparently redundant transcriptional enhancers.

Phenotypic robustness conferred by apparently redundant transcriptional enhancers.
Frankel N, Davis GK, Vargas D, Wang S, Payre F, Stern DL.
Nature. 2010 Jul 22;466(7305):490-3. Epub 2010 May 30.

DS研から、リダンダントなエンハンサーは表現型のロバストネスを高める働きがある、という論文。

内容はいたってシンプルで、shavenbaby遺伝子から、従来のエンハンサーと重複した働きを持つ新たなエンハンサーを同定し(いわゆるシャドウエンハンサー)、そのエンハンサー領域を欠失させると、通常の生育温度では影響が少ないものの、極端な生育温度だとトライコーム(細かい毛のような突起物)の数が減少することを示しています。

つまり、重複したエンハンサーの機能として、形質のロバストさを担っている、というわけで、まぁこれは別の誰かも言っていたことなのですが、こちらが先に論文になった、というわけで。
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2010年07月09日

EvoDevo

ついに、話題のEvoDevoが創刊になりました!

http://www.evodevojournal.com/

ちょっと進化発生学関連の雑誌が増えすぎな気もしますが、オープンアクセス、カラーフィギュアやムービーも使いたい放題のメリットを考えると、EvoDevoが伸びるのではないかと予想します。(発生学関係でいまだにカラーページチャージを取る雑誌は、競争力を失っているのでは…。)とはいえ、自分の論文を投稿するとなると、評価が定まるまで3年くらいは様子を見たいですね。
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2010年07月05日

花火大会にて

この週末は、独立記念日に合わせて様々なイベントが行われています。

マディソンでもあちこちで花火大会があるのですが、Rhythm and Boomsは音楽に合わせて花火があがるというちょっと面白い趣向です。州兵(National Guard)のF16や落下傘部隊も参加して、ちょっとしたショーもありました。友人らと数人で出かけたところ、地元紙の取材を受けてしまいました。

Rhythm & Booms launches a welcomed attack on the senses

この花火大会は、観客と打ち上げ位置がとても近く、インタビューで答えているとおり、昨年は花火の灰を浴びる事ができたのですが、今年は追い風だったためか、まったく灰は降りませんでした。しかし日本ではぜったいにありえないほど近くで花火があがるので見応えは十分でした。
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2010年06月18日

Impact Factor 2009 (インパクトファクター 2009)

今年もこの季節がやってまりました。最新インパクトファクターの発表です。

念のため言っておくと、私はインパクトファクター至上主義者ではありません。が、敵を知り己を知れば百戦危うからずということで、まぁ今日の風向き程度に参考にしましょう。

と、前置きはこれくらいにして、何と言っても今回の目玉は、そう、この雑誌です。

PLoS One 4.351

すばらしい。オープンアクセスジャーナルだし、査読では方法の妥当性のみを問う(研究の価値についての判断を査読段階ではしない)という編集方針にもかかわらず、この数値。ここ数年、オープンアクセスジャーナルが次々に現れたことで、科学研究雑誌業界は戦国時代の様相ですが、PLoS Oneが台風の目になりました。これによって、かなりの老舗ジャーナルが食われていくのは間違いないでしょう。なにしろ2008年の実績では、2700報の論文が掲載されているのです。このインパクトファクターを見て、投稿しようという人はさらに増えることでしょう。

さて、以下はいつもの気になるジャーナルのまとめです。全体に変化が少ないという印象です。


有名ジャーナル編

Nature 34.480 増
Cell 31.152 変わらず
Science 29.747 増
PLoS Biol 12.916 微増
Curr Biol 10.992 微増
Proc Natl Acad Sci USA 9.432 微増

発生関係

Development 7.194 やや回復
Dev Biol 4.379 微減
Evol Dev 3.179 減
Dev Dyn 2.833 減
Mech Dev 2.827 やや回復
Dev Growth Diff 2.280 微減
Dev Genes Evol 2.146 変わらず


その他の優良ジャーナル編

Proc Royal Soc Lond B なぜか見つかりません
FEBS Lett 3.541 微増
Biol Lett 3.521 増
Insect Biochem Mol Biol 3.117 増(たぶん初の3越え)
Insect Mol Biol 2.568 減
Naturwissenschaften 2.316 増
J Insect Physiol 2.235 微増
Bull Entomol Res 1.580 微増
Insectes Soc 1.480 回復
Zool Sci 0.821 減


BMCシリーズ

BMC Biol 5.636 増
BMC Genomics 3.759 減
BMC Dev Biol 3.290 やや回復
BMC Mol Biol 2.848 わずかに回復

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2010年06月08日

The homolog of Ciboulot in the termite (Hodotermopsis sjostedti): A multimeric beta-thymosin involved in soldier-specific morphogenesis.

The homolog of Ciboulot in the termite (Hodotermopsis sjostedti): A multimeric beta-thymosin involved in soldier-specific morphogenesis.
Koshikawa S, Cornette R, Matsumoto T, Miura T (2010)
BMC Developmental Biology 10: 63
BioMed Central

さらにもう一件宣伝です。シロアリの兵隊分化の際には、頭部や大顎が大きくなるなど、組織の改編を伴った成長が起こります。そのときに発現が上昇するアクチン関連タンパク質の遺伝子HsjCibを解析した論文です。

もともと、Koshikawa et al. (2005, FEBS Letters) で、大顎組織を用いたディファレンシャルディスプレーによってこの遺伝子の断片が取られていました。今回、cDNA全長を決定し、体の各組織や様々な時系列でリアルタイムPCRなどで発現解析をし、結果として、この遺伝子が体中の多くの組織で発現していることを示しました。また、複数のアイソフォームが検出されていますが、それらの機能の違いについてのスペキュレーションも加えてみました。

残念ながらRNAiで明瞭なフェノタイプが出ず、それがこの論文の泣き所でもあるのですが、とにかくD論の最終章がなんとかこのように論文になったということで、とてもすっきりした気分です。関係者の皆さん、および関連論文を準備していた後輩たちにはご迷惑をおかけしました。

実験としては、RNAiをオオシロアリで初めて試みたほか、ウェスタン、ノーザン、サザン、in situと、自分にとってはまさに分子生物学実習となりました。このデータを取っていたころにはそういう風には思っていませんでしたが、当時学んだ技術や知識は、いまとても役に立っていると思います。
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2010年05月26日

Gene expression changes during caste-specific neuronal development in the damp-wood termite Hodotermopsis sjostedti.

Gene expression changes during caste-specific neuronal development in the damp-wood termite Hodotermopsis sjostedti.
Yuki Ishikawa, Yasukazu Okada, Asano Ishikawa, Hitoshi Miyakawa, Shigeyuki Koshikawa, Toru Miura
BMC Genomics 2010, 11:314 (20 May 2010)

ひきつづき宣伝です。オオシロアリの兵隊分化過程において、神経系での遺伝子発現の変化を追った論文。

I川Y希さんはシロアリのカースト分化に関連した神経系の改変と行動の変化について研究しており、これはそのうちの遺伝子発現に関する部分です。BMCシリーズの中でも難しめのGenomicsに掲載されました。そしてフリーアクセスなのがすばらしい。シロアリ関係者の方々、じゃんじゃん引用してください。

私は2005年に、大顎組織を用いて遺伝子発現の変化を見る論文を書いているのですが、この論文の結果と比較してみると、そのうちのいくつかは神経系で働いているのかも、と思います。シロアリの大顎はほとんど表皮と神経でできているので、当時、私は表皮で発現するものを取っているつもりだったのですが。同じプライマーセットでディファレンシャルディスプレーをしているので、どうしても似たようなものが釣れてくるという要素もあると思います。シークエンスのコストも日に日に下がっているので、次はESTでしょうか?
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2010年05月25日

Gene up-regulation in response to predator kairomones in the water flea, Daphnia pulex.

Gene up-regulation in response to predator kairomones in the water flea, Daphnia pulex.
Hitoshi Miyakawa, Maki Imai, Naoki Sugimoto, Yuki Ishikawa, Asano Ishikawa, Hidehiko Ishigaki, Yasukazu Okada, Satoshi Miyazaki, Shigeyuki Koshikawa, Richard Cornette, Toru Miura
BMC Developmental Biology 2010, 10:45 (30 April 2010)

共著論文の宣伝です。M川氏らによるミジンコの遺伝子発現に関する論文。

ミジンコ(Daphnia pulex、いわゆる普通のミジンコ)は、天敵であるフサカ(Chaoborus sp.)の幼虫、つまりボウフラがいる場合には、捕食されにくいように首にトゲを生やすことが知られています。ミジンコはゲノムが読まれていますし、表現型多型のメカニズムを明らかにする上で適しているのでは?ということで、フサカに対する反応を遺伝子発現レベルで調べたのがこの論文です。

もともとM浦研でI井さんが始めた仕事が、その間にゲノムが読まれて周辺情報が増えていき、それに対応する形でM川氏が引き継いで、このように立派な論文になったというわけです。大変めでたいことです。しかもオープンアクセスなうえに、掲載料はゲノムコンソーシアムの方で出してくれるとのこと。

ミジンコゲノムに関するcompanion paperは、以下のページで見ることができます。
http://www.biomedcentral.com/series/Daphnia
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2010年04月22日

冊子体

先日の論文ですが、印刷バージョンが今週出回るようです。あまり上手ではありませんが、私がつくった合成写真が表紙を飾りました。

werner cover.jpg

PubMedへのリンクはこちらです。
Generation of a novel wing colour pattern by the Wingless morphogen.
Werner T, Koshikawa S, Williams TM, Carroll SB. (2010)
Nature 464: 1143-1148
posted by シロハラクイナ at 06:39| シカゴ ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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