生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2011年07月07日

Morphological evolution caused by many subtle-effect substitutions in regulatory DNA

Morphological evolution caused by many subtle-effect substitutions in regulatory DNA.
Frankel N, Erezyilmaz DF, McGregor AP, Wang S, Payre F, Stern DL.
Nature. 2011 Jun 29;474(7353):598-603. doi: 10.1038/nature10200.

DS研、最近好調みたいです。例の、Drosophila sechelliaの幼虫の肌がすべすべ(trichomeと呼ばれる微少突起が少ない)なのはいかなる進化的変化によるかという問題で、shavenbabyという転写因子をコードする遺伝子のcis制御領域の中でも、いよいよ、原因となる塩基の変異にまで踏み込んだ内容です。
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2011年07月01日

アビエイター

アビエイター 通常版 [DVD] / レオナルド・ディカプリオ, ケイト・ブランシェット, ケイト・ベッキンセール, アレック・ボールドウィン, イアン・ホルム (出演); ジョン・ローガン (脚本); マーティン・スコセッシ (監督)

先日書いた新ジャーナルのスポンサーであり、私の雇い主でもあるHoward Hughes Medical Instituteは、世紀の大富豪Howard Hughesの遺産を基に運営される財団です。もともとは税金対策ための財団でしたが、彼の死後、遺産の多くを受け継ぎ、全米最大の医学研究財団となりました。日本円換算で毎年400億円くらいを拠出しているらしいですが、それでも元本が増え続けているという、まさに巨万の富を持つ財団です。そんな彼の人生を描いた映画が、ディカプリオ主演のアビエイターです。末端の従業員として、見ておかねばと思っていたのですが、ついに先日、DVDを購入して見ることが出来ました。特に飛行機好きにはお薦めできます。
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2011年06月30日

Impact Factor 2010 (インパクトファクター 2010)

さて、今年も新しいインパクトファクター(IF)が発表されました。ざっと見たところ、あまり目立った変化はありません。2年目のPLoS ONEがほぼ同じ数値を保っているのが良いニュースでしょうか。

<以下、具体的な数字を削除しました。>
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2011年06月29日

来年の夏に新しい生命科学ジャーナルが創刊される

たぶん研究者コミュニティーにとっては大きなニュースだと思うのですが、Howard Hughes Medical Institute, Wellcome Trust, Max Planck Societyが中心になって、新しい生命科学ジャーナルを創刊するということです。最高のジャーナルを目指し、オープンアクセス、少なくとも最初の数年は掲載料も取らないということです。

Three Biomedical Funders to Launch Open Access Journal (Science)

創刊のモチベーションになっているのは、トップジャーナルでは科学者でない人間によって編集が行われ、採否の決定権は編集者にあるものの、科学的妥当性を巡ってレビュワーと何度もやりとりするために査読が長引き、何度も何度も修正やデータ追加を要求されることに対する不満があるようです。

似たような経緯で創刊されたPLoS Biologyは、生命科学誌のトップであるCellを喰ってしまうほどにはならなかったし、前にも書いたように著者から掲載料を取るモデルで経営的に行き詰まり、中位ジャーナルであるPLoS ONEを創刊することで持ち直しましたが、今となっては圧倒的論文数を持つPLoS ONEのほうが主役になってしまった感があります。(例えば、2008-2009の論文数は、PLoS Biology 214に対し、PLoS ONE 6714です。実に30倍以上。)

今回の試みの新しい点は、この3つの母体が圧倒的な資金力を持つことで、正直なところ、ジャーナルが赤字だろうとまったく構わないのでしょう。なので、査読者にギャラを払うという噂まであるようです。

Natureは相変わらずこの手の動きには批判的で、内部のライターを使って「ビジネスモデルが見えない」と書かせていますが、今回の動きは営利目的ではないので、まったく的はずれでしょう。PLoSのときには、批判的な割にはNature CommunicationsやScientific Reportsなどを創刊して、対抗意識まるだしでしたが、さて今回はどうなるでしょうか。

Three major biology funders launch new open access journal, but why exactly?

私個人的には、やっぱりCellやNatureを喰うところまでは行かず、PLoS BiologyやCurrent Biologyあたりと一緒に団子になると予想しておきます。でも、もしも本当にトップを奪ったら快挙なので応援したいです。
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2011年06月28日

解明される意識

解明される意識 [単行本] / ダニエル・C. デネット (著); Daniel C. Dennett (原著); 山口 泰司 (翻訳); 青土社 (刊)

かなり長い時間をかけて、やっと読了。たいへん面白かったです。

本書では、多くの人が漠然と信じている、人間の意識には中心のようなものがあって、多くの情報を取捨選択し統合してアウトプットしているという考え方を「カルテジアン劇場」と命名して批判し、そのか代わりとなる仮説として「多元的草稿」モデルというものを提示しています。たぶん研究者にとってはおなじみの、書きかけの色んなバージョンの原稿がごちゃごちゃになっている状態、これが人間の意識の状態である、と。

モデルを説明するにあたり、コンピューター、人工知能の研究成果をふんだんに取り入れ、あくまでも現代の科学と乖離しない形をとり(自然主義)、また哲学のジャーゴン(業界用語)をできるだけ排しているので、かなり可読性が高いものとなっています。多くの哲学書に比べれば、ですが。

これを読むと、やはり現代科学の最大の課題は、人間の意識、人間の思考のメカニズムを明らかにすることなのかなと思います。しかし人間の脳はなにしろ複雑すぎて、すぐに取り組むにはまだ科学的手法が十分に確立されているとはいえず、どういう個別研究をするかという大方針を立てるには哲学の力を借りないといけないのかもしれません。一方で、単純なシステムをまず完全に理解する必要があるという意味では、線虫の神経系の研究なんかも非常に重要であるという思いも強く持ちました。
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2011年05月11日

トップジャーナルのありかたについて

トップジャーナルのありかたについて、あまり語る資格はなさそうですが、小物だけに言えることもあると思うので言っておきます。

生物学の研究者にとって、CNSあるいはビック3と言われる、Cell, Nature, Scienceですが、これらは他の多くの専門誌と色々な点で異なっていると思います。特に顕著な違いは、編集長、編集者らが、現役の科学者でなく、多くがPhDを取った後に出版界に転じた人たちということでしょうか。つまり論文の採否の最終決定が、科学者でない人によって行われるということです。

彼らは多くの一流の論文を読んできていますから、かなりの見識があるのは確かだとは思いますし、レフェリーはその分野にフィットした専門家がやりますので、論文の個別具体的な問題点についても見落とさないことが期待されますが、現実的には見落とすこともあるでしょう。そして、採否の際に、データや論理構成とともに、あるいはそれ以上に重視されるのが、分野の垣根を越えた革新性、インパクトなどです。これは商業誌である以上、おそらく仕方のないことで、彼らの目的関数は、科学の進歩、ではなくて、商業的成功(=部数)であるだろうからです。つまり本当であろうと無かろうと話題になったもの勝ちということですね。これはNatureで特に見られる傾向だと思います。


では、編集長、編集者を現役の科学者にやってもらうといいのでは?と思いますが、トップジャーナルともなると、投稿量は半端じゃないので両立は困難ですし、編集者や彼らと親しい人の研究室からその雑誌に論文が出ると、ひいきしているのではないかという目で見られるなど、別の問題が出てくると思います。

PLoS Biologyは、既存のトップジャーナルへの不満がたまっていた科学者による設立、運営で、トップジャーナルを目指しましたが、いまのところ、上記の3誌ほどの地位は得られていないです(そして、言いにくいけれど"お友達が有利" との批判も聞かれないことはないです。)。また、オープンアクセスであるという別の問題との関係が強いですが、経営的にはPLoS Biologyは失敗したと言われていて、PLoS ONEとセットにすることでやっていけているという状況です。しかし、個人的には、PLoSは既存のシステムに風穴を開けたという点で、大いに評価されるべきと思います。Nature Communicationsの創刊はPLoSに対抗する意図だと思いますし、既存の雑誌の地位がずっと安泰であるわけではないと思います。何にせよ、絶対的な権威があるというのは面白くなくて、常に栄枯盛衰やターンオーバーがあるというのが健全なのではないでしょうか?

私個人の好みで言えば、いまだに読んで一番面白いのはNatureだと思いますし、時々変な論文が載るのも楽しみです。ただ長く権威の座に留まり過ぎではあると思います。科学的な健全さで言えばCellが理想なのでしょうが、ちょっと退屈なところがありますね。
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2011年05月05日

Body plan innovation in treehoppers through the evolution of an extra wing-like appendage

しばらく休んでいましたが、再開します。

Body plan innovation in treehoppers through the evolution of an extra wing-like appendage
Benjamin Prud’homme, Caroline Minervino, Mélanie Hocine, Jessica D. Cande, Aïcha Aouane, Héloïse D. Dufour, Victoria A. Kassner, Nicolas Gompel
Nature 473, 83–86 (05 May 2011)

さて、ツノゼミのヘルメット(胸部についた飾り)の進化的起源を扱ったこの論文。うちの研究室からも2人、著者に入っていますし、このプロジェクトの進行をそばで見ることができました。昆虫好きの人はよくご存じのように、ツノゼミはその圧倒的な形態的多様性により、多くの昆虫写真家、採集家、ナチュラリストを魅了している一群です。熱帯産のものが有名ですが、ウィスコンシンには一種だけ、とても良く採れる普通種がいるので、それをうまく利用したプロジェクトです。

彼らが示しているのは、ツノゼミのヘルメットは関節を持った前胸の背側付属肢であるということと、発達中のヘルメットは、翅の発生に関連する遺伝子3つ(nub, Dll, hth)の抗体で染まる、ということです。これをもって、ヘルメットは翅と連続相同な器官であり、ツノゼミはnubなどの翅発生関連遺伝子が、前胸のHoxであるScrによる抑制を受けないように進化したためにヘルメットを発達させることができた、という壮大な仮説を述べています。

材料の特性上、できる実験と出来ない実験があるし、苦労もよくわかりますが、やはりデータの積み上げ方、論理構成は少々強引なように思います。しかしライティングが非常にうまいのと、Supplementを含めGompel氏の写真がとても良いので、エンターテインメント性の高い作品に仕上がっていると思います。おそらくどこかからか反論も出てくると思いますが、それを読むのも楽しみですし、再反論も楽しみです。
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2011年02月13日

National laboratory mustache day

2月11日は、全米研究室ヒゲの日です。

http://labmustacheday.blogspot.com/
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2011年01月27日

祝20万ヒット

ご愛読ありがとうございます。

カウンターのセッティングは適当ですが、まぁだいたいということで。このブログは開設してからもう5年が過ぎました。
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2010年12月31日

事業仕分けと来年度予算案

今月は一度も書いていなかったので、ひとこと。

例のパブリックコメント募集から事業仕分け第3弾にかけて、研究者コミュニティーは大騒ぎになり、しかも仕分の結果を受けた評価会議では、「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ 」がC判定、「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ 」がB判定(補正措置含む)とされ、予算大幅カットは確実と思われました。

しかし菅首相のリーダーシップ(?)により、突如、科学技術関連予算の増額が発表され(12/22)、科研費は約30%増額(2633億円)で予算案に組み込まれました。さらに「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ 」に含まれていた特別研究員PD事業も約30%の増額(60億円)、テニュアトラック普及・定着事業も新規扱いで81億円が計上されました。若手研究者にとっては満額回答と言ってよいでしょう。この一連の騒動のため、来年度から採用のPDは採用内定が保留されていましたが、予算案の閣議決定を受けて無事内定を受けた人たちが沢山いるようです。よかったよかった。

平成23年度予算案
http://www.mof.go.jp/seifuan23/yosan.htm

一方でもちろん問題点も多数あります。まずは、仕分け関係の制度が固まっていないために、先行きが不透明であることから皆が疑心暗鬼になり、その都度、署名だパブリックコメントだと、大騒ぎになること。では騒がなければいいかというと、本当に予算をばっさり切られるとシャレにならないので、ノーベル賞受賞者を担ぎだしたり、学会で提言を取りまとめたり、その時点では本気を出さざるを得ない訳です。

そして、パブリックコメントが突出して多かった文部科学省の事業が、評価会議で低い評価を受け、しかしそれは必ずしも予算案に反映されていない。原理原則がしっかりしておらず、切られる側はもとより、仕分け関係者も脱力していることと思います。若手研究者側から見ても、仕分けのワーキンググループで科学技術振興調整費が廃止となった時には愕然としましたが(従来、テニュアトラック事業はここに含まれていた)、結局、テニュアトラック事業は新規扱いで見事に復活したのでした。

大学の運営費交付金、私学助成などは微減、グローバルCOEは10%減ということで、厳しい部分もありますが、ほぼ覚悟していた通りといったところでしょうか。グローバルCOE拠点など、当事者の方達のご苦労はお察しいたします。しかし、そもそもグローバルCOEやグーロバル30などが、その予算規模に見合った成果が見込まれる事業だったか、つまり同額を科研費にしたほうが有効なのではと多くの研究者がつぶやいていたことを考えると、大筋としては正しい方向に向かっているのではないかと思います。

来年はもしかすると総選挙があるかもしれませんし、また署名だパブコメだと騒ぐことになるかもしれませんが、雨降って地固まる、となると良いですね。よいお年を。
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2010年11月18日

事業仕分け第3弾後半

こちらは夜中ですが、GCOEなど、大学関係の予算の仕分けをネット中継で見ています。かなり切れますが、何度もリロードして見ている状態。肝心のGCOEの結論部分を聞き逃しましたが、一割以上縮減ということで合っていますか?再仕分けにかけられたにしては、良く踏みとどまったと言うべきでしょうか。

文部科学省の方々も、予算を切られまいとして奮闘していますが、「地域・社会の求める人材を養成する大学等連携事業」など、かなり厳しい事業があるのも確か。結局のところ、大学の構造的な問題を放置したまま、細かな課題に対してそれぞれ対処療法的な(そしておそらくあまり効果的でない)政策を続けてきたことが問われているのではないでしょうか。短い時間とはいえ、事業仕分けでもなければ、このような個々の事業に対して、国会議員や有識者、官僚が公開の場で議論するようなこともなかったと思いますので、それなりに意義はあったのではないでしょうか。良く聞こえなかった部分もあるので、あとでまとめの資料が出てきてから、もう一度中身を見てみたいと思います。

また、説明者の方々(政務官と官僚)にも、ぜひ名札をつけて頂きたかったです。「説明者」っていう名札は、あまり意味がないような気が。
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2010年11月12日

BlastStation

自分のハードディスクに保有しているシークエンスに対してBlastをかけるのに便利なソフトを発見し、最近はこれを使っています。WindowsにもMacにも対応しているようです。

BlastStation-Free
http://www.blaststation.com/freestuff/ja/products_bsfree.html

検索結果は視覚的に表現されるし、個別の配列も簡単に取得できます。これは便利。ただしユーザー登録が必要です。
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2010年11月02日

近況

このところの懸案だった原稿をついに脱稿。11巻構成の巨大シリーズの、ごくごく一部です。私の担当分15ページでこれだけ苦しむのだから、本一冊書いた水嶋ヒロは、それだけで十分尊敬に値すると思う。

ゲノム読みはやや進んで、現在第1弾のアセンブリが出てきた段階。300bpの断片の両側から75bpずつ読んだものなので、やはりアセンブリに難あり。まだひとつひとつのコンティグが小さく、あまり使い物になりません。第2弾として、今週から来週にかけて、メイトペアという方法で、5kbの断片をライゲーションして環状にし、それを再び細断してから、ライゲーションのつなぎ目付近を両側から36bpづつ読むということをやります。そうすると、5kb近い断片の両側の配列が手に入るので、これを第1弾のシークエンスと混ぜてアセンブルすることにより、より大きなコンティグが作れる…はず。この方法ができることにより、シーケンスのリードの長さはあまり問題ではなくなって、454の優位性が弱まったという気がします。これでどんな生物でもホールゲノムショットガンで、1ランか多くても数ランで終わってしまうようになりました。

メーカーによるメイトペア法の解説。
http://www.illumina.com/technology/mate_pair_sequencing_assay.ilmn

Blastを自分の手持ちのデータに対して行うため、NCBIからblastをダウンロードしてセットアップ。Windowsでは、BioEditというソフトでローカルBlastができるようですが、Macだとターミナルからコマンド入力せねばなりません。なんかプログラマーみたいでかっこいいですが、使いこなしていないので、ヒットが来ないときに、本当に相同な配列が無いのか、自分が悪いのかよくわかりません。ラボにインフォマティックスのできる人が居るといいのですが。日本の統合TVには、かなりお世話になりました。

統合TV。これは多言語で世界展開すべき。うちのラボのアメリカ人も見ています。
http://togotv.dbcls.jp/
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2010年10月19日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 4

あと数時間で締め切りです!またパブリックコメントを書いていない方はぜひ。

http://seisakucontest.kantei.go.jp/
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2010年10月12日

Hoxは何の略?

いま、ある原稿を準備しているのですが、Hox遺伝子群のHoxって、何の略だったかはっきりわからず、80年代の文献をいろいろ漁っています。ショウジョウバエの場合は、発見後しばらくの間はAntp complex(とUbx complex)とか、Hom-Cなどと呼ばれていたので、Hoxというのは明らかに脊椎動物から出てきた言葉です。

現状でたどり着いた最も古い文献は、

Homeo box gene complex on mouse chromosome 11: molecular cloning, expression in embryogenesis, and homology to a human homeo box locus.
Hart CP, Awgulewitsch A, Fainsod A, McGinnis W, Ruddle FH.
Cell. 1985 Nov;43(1):9-18.

”Hox-2 (the second homeo box region described in the mouse genome)" と明記されているので、HoxのHはhomeoの頭文字、oxはboxの語尾ということで大丈夫でしょうか。

いまではHox遺伝子以外にも、homeoboxを持っている遺伝子は沢山知られているので(homeobox 遺伝子と呼ばれている)、なんだか適切な略語ではなくなっている気がしますが。

ついでに、脊椎動物ではよくxで終わる遺伝子名があり、これらはhomeoboxを持っているような気がしますが(未確認)、だとするとxはhomeoboxから一文字だけ持ってきているということ?
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2010年10月11日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 3

さて…少々古いですが、予算を切りたい財務省サイドの見解がよくわかるインタビュー記事がありましたのでリンクしておきます。あちこちで紹介されているようなのでご存知の方もいると思いますが、まだ見ていない方は是非。あちらサイドが大学や研究と予算の関係についてどう考えているのかよくわかります。

真の教育、研究水準の向上につながる大学改革とは
http://www.rieti.go.jp/jp/special/dialogue/07.html

文教系の人々が思っていても言いにくい事をけっこうグサッと言っています。GDP比で3.5%という日本の教育予算はOECD平均で最低水準とされるけれども、実は子供の数も少ないのでその分を補正すると子供一人あたりの教育予算はOECD平均並みである、という主張から始まり、大学の機能分化(教育か研究への特殊化)の必要性、古い研究分野(を担当している部局)の整理の必要性、学長の選考方法や経営能力の問題などなど。

さすが財務官僚というか、まるで大学予算を切れば切るほど大学が良くなるかのような口ぶりですが、こういう論調にも有効に反論できるようにならなければいけません。
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2010年10月10日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために 2

政策コンテストについて勉強中。

例によって、官邸の思いつき(そしておそらく背後には財務省)によって行われる政治ショー兼、予算削減祭りであります。事業仕分けでは、我々研究者コミュニティーも実害を被り、また長期的視点を欠いた浅はかな見せ物の構造に憤りを抱いたものですが、ゲームが始まり、そこに放り込まれてしまった以上、できるだけ無傷で、できれば良いスコアで切り抜けなければいけません。

今回の政策コンテストは、正式名称「元気な日本復活特別枠」。来年度概算要求について、各省が今年度比で一律10%削減、その削減相当額を新たな要望に振り分けることができ、その採否は政策コンテストで決める、ということのようです。削減を10%以上行った省庁は、その余計にがんばった分(例えば11%削れば1%)の3倍(この例だと3%相当額)を要求することができるそうです。これによって、削減をがんばらせようという意図ですね。

まずは各省庁に削減項目と要望項目を出させ、要望項目それぞれについてパブリックコメントを募集し、それらを「参考に」ししつつ、国会議員や民間有識者による「評価会議(仮)」によって政策の優先順位を検討したのち、最後は総理大臣が決定する、ということです。

この手法の問題点はいろいろありますが、そもそも各省庁一律10%削減というのは乱暴な話で、予算の柔軟性がもともと低い省庁(人件費の割合が高い防衛省など)もありますし、教育研究のように削ると末代まで悪影響が及ぶであろう分野もあります。また、国民の意見を聞いて決めたのだからという、予算削減のアリバイに使われるのは必至です。また、「有識者」をどのように選ぶのかも不透明で、事業仕分けの時のように、事情をおわかりになっていない方々が紛れ込むのもほぼ確実だと思われます。

とはいえ、直接に国民の声を反映させるチャンスがあるという意味では、何もやらないよりはいいのではないか?いずれはきちんと制度化して、批判を受けつつ問題点を修正して行けばいいのではないか?という気もいたします。また、自分が関心を持っているあるいは必要と思っている事業について応援できる(しないと切られるのでせざるを得ない訳ですが…)だけでなく、不要と思われる分野(明らかなバラマキ…)について批判できるというのも重要な点かと思います。

http://seisakucontest.kantei.go.jp/index
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2010年10月09日

政策コンテスト 研究予算をつぶされないために

日本政府は政策コンテストなるものをやっているそうですね。要は、ぜんぶ削りたい予算なんだけれども、どうしても国民が望む事業は残してやってもいいよ、というコンセプトなわけですね。従来計上されていた、教育・研究関係の予算がこの枠で論じられること自体、教育・研究に対する民主党政権(あるいは財務省)の無理解を示していると思いますが、とにかく、今回の予算編成で削らせないためには、多くの「国民の声」を寄せるしかないようです。

「元気な日本復活特別枠」政策コンテスト
http://seisakucontest.kantei.go.jp/

特に私が関心を持っているのは「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ」(学振PD、テニュアトラック関連)ですが、他にも日本の大学関係者であれば「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ」(いわゆる運営費交付金関連)にも関心を持たれているのではないでしょうか。

例によって、パブリックコメントの「数」が政策決定に影響を及ぼす可能性が否定できないので、とにかく短くてもいいから、コメントを寄せることが重要だと思います。私もこれから書きます。

このエントリは、優秀な後輩であるAさんのブログに触発されて書きました。
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2010年07月28日

進化のなぜを解明する

進化のなぜを解明する
ジェリー・A・コイン(著), 塩原通緒 (翻訳)

進化のなぜを解明する

進化のなぜを解明する

  • 作者: ジェリー・A・コイン
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2010/02/04
  • メディア: 単行本




特にアメリカではいまだに進化論に対して否定的な人たちが多いため、このような「進化の証拠」を提示する本は頻繁に出版されます。紹介されている研究も比較的新しいので、なかなか参考になります。特に有孔虫や放散虫の形態の進化を、化石で数百万年に渡って追跡した研究の話はとても印象に残りました。全体として、淡々としていながらもバランスの良い記述で、ダーウィン年に広く読まれるべき作品だったのだと思います。原著は2009年発行で、原題は「Why evolution is true」。

(ちなみに…この著者は私の属する研究グループとは折り合いの良くない方ですが、そして、オブラートにくるんだとしてもイマイチとしか言いようの無い論文を書かれている方ですが(過去には名作もありますが)、この著書の評判は悪くないようです。というか面白いです。)
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2010年07月27日

Evolution of the tan locus contributed to pigment loss in Drosophila santomea: a response to Matute et al.

Evolution of the tan locus contributed to pigment loss in Drosophila santomea: a response to Matute et al.
Rebeiz M, Ramos-Womack M, Jeong S, Andolfatto P, Werner T, True J, Stern DL, Carroll SB.
Cell. 2009 Dec 11;139(6):1189-96.

さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、とりあえずはこのシリーズの最後となる論文です。

なお、これまでに、関連するエントリを4つ書いてきました。

Lachaise et al. 2000
腹部に着色の無い種、Drosophila santomeaの発見。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/135297424.html

Carbone et al. 2005
QTL解析により、着色の喪失の原因となった主要なQTLにあたりをつけた。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/135402987.html

Jeong et al. 2008
最大効果QTL近傍にあるtan遺伝子が、QTLの正体である事を示した。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/145571102.html

Matute et al. 2009
melanogasterの突然変異系統とsantomeaの交配から、上記の論文の結果に疑義。
http://hodotermopsis.seesaa.net/article/145659375.html


この論文では、Matute et al.による批判のどこがまちがっているか、完膚なきまでに反論しています。

C研からJeong et al. 2008が出る前から、実はDS研ではsantomea-yakuba問題をQTL解析の精度を高める事により解決しようとしており、C研のCandidate gene approachよりも時間はかかるものの、先入観によるバイアスの無い、実直なデータをとっていたのでした。彼らの手法は、santomeaとyakubaを掛け合わせ、腹部に着色を持つ子孫にさらにsantomeaを掛け合わせ、ずっとこれを繰り返す事により、重要なQTL近傍のみyakuba由来で、その他のゲノム領域はすべてsantomeaという個体を作り出すというものです。

こういう系統をintrogression lineと呼ぶそうですが、これにより、最大効果を持つQTLの場所を29遺伝子を含む領域にまで狭める事に成功し、この領域のほぼ中心に、tan遺伝子が残っています。そして、Matute et al.の調べた、melanogasterでの欠失領域は、ひとつを除いてすべてこの領域の外にあるということがわかりました。つまり、彼らのデータの大部分は、関係のない領域を調べて、表現型に効果がみられないという、いわばあたりまえのネガティブデータだったわけです。

さらに、Matuteらの表現型のデータは、ちょっと計算を操作して、さもtan遺伝子の役割が小さかったかのようにしています。表現型をきちんと比較しようにも、対照群となるべき(体色に関して)野生型のmelanogaster(Basc)とsantomeaの雑種で、これが着色がおこらずにまっ黄色なものですから、melanogaster(tan)とsantomeaの雑種が同じくまっ黄色で、違いが検出しにくいのです。なのに、tanの効果を算出する時の分母には、melanogasterとsantomeaの着色の違いを用いていて、要は割り算の分母を不当に大きなものにすることで、tanの貢献度を不当に小さく算出していたのです。

結論としては、tan遺伝子(のcis制御領域)は、おそらく最大のQTLの正体であり、その変異がsantomeaの腹部の着色の進化に主要な役割を果たしていた、というものです。そして、同じデータでも、その取り扱いにより、人はいかに間違った結論を導くかというケーススタディーとして今回の論争を総括しています。
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