生物学・科学に関する雑感。

現在ウィスコンシン・マディソンに研究留学中


2009年11月22日

事業仕分け5

このブログの影響力なんてショウジョウバエの1齢幼虫並みに小さいけれど、読んでくれている人の行動に少しでも影響を与えられたとしたら嬉しいです。草の根の活動が、積もり積もって大きな力になると信じつつ。

さて、色々な学会の公式声明も出たことだし、文科省の意見募集の締め切り(噂されていた実質的な締め切り11/20、確かにこの日までの集計がマスコミに流れた)も過ぎたことですし、若手の皆さんはここで一息といったところでしょうか。

あとはニュースウォッチをしつつ、適切な行動をとっていけばいいのですが、実際に若手支援がどのくらい削られるのかは、予算編成次第ということになります。そして、最後には政治的な決断となるはずです。

では、現状での「つつきどころ」はどこでしょうか?

政府内の構図を考えるに、行政刷新担当大臣の仙谷由人氏、および財務大臣の藤井裕久氏は、科学技術関連予算を削りたい立場、反対に、菅副総理(科学技術担当大臣を兼任)と鳩山首相は、削りたくない(少なくとも大きく削ることには賛成しない)立場のようです。こういう場合には、菅氏および鳩山氏に、「どうかよろしくお願いします」的なメールを送ったらどうでしょう?スパコン事業は、どういうわけか菅氏を見方につけることに成功したようです。

菅副総理スパコン復活に前向き 事業仕分けには異論(産經新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091120/stt0911201808005-n1.htm

鳩山首相は、このところ孤立しがちな菅副総理をたてるような言動が見られますし、首相自身も、科学技術予算増額論者のようですので、私は、スパコンは復活すると見ました。若手支援が復活するかどうかの鍵は、同様に管氏の動きにあると思います。

あとは、ひな壇ではナンバー2の位置にある「ハトを守るカメ」も味方につければ万全かもしれません。彼は財政出動派ですし、発信力もありますし。

研究に忙しいことと思いますが、お時間のある方はメールでも。

首相官邸
http://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

菅直人公式サイト「ご意見箱」
http://www.n-kan.jp/contact/index.php

亀井静香公式web ご意見・お問い合わせフォーム
http://www.kamei-shizuka.net/inquiry/index.html

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2009年11月19日

事業仕分け4

Nature Newsに、事業仕分けの件が掲載されたようです。
http://www.nature.com/news/2009/091117/full/462258a.html

過去の記事では、鳩山首相は、科学研究予算を増額すべきと言っているんですがね…。
http://www.nature.com/news/2009/090819/full/460938a.html
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事業仕分け3 (今日、明日のうちに!)

事業仕分け対象事業に関する、文部科学省の意見募集について。

今日、明日中に投稿されたメールの数が、政策決定に重要な意味をもつ、との情報があるそうです。(社会性昆虫コンソーシアムのメーリングリストで流れている情報です。)

http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm

「件名(タイトル)」に事業番号、事業名を記入し、担当副大臣、政務官にメールをしてください。もう一押し、がんばりましょう!
posted by シロハラクイナ at 11:45| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月17日

事業仕分け2

オンライン、オフライン、あちこちで、事業仕分けの研究関連の項目について、どのようなアクションをとるべきか、という議論が起こっているようです。こういう場面ではメーリングリスト、ブログ、ツイッターなどが便利ですね。私はオフラインでの議論には参加できませんが、出来ることを探して行動していきたいと思います。大げさに言えば、我々若手研究者にとって、存亡をかけた戦いですので。

これまでの議論を見ていくと、学会のトップが連名で声明を出す、という流れになりそうなので、その件は当事者の先生方に期待したいと思います。

さて、何の肩書きもない我々ができることは何か、と考えると、署名や、文科省・民主党への個別の意見投稿が思いつきますが、それ意外に、地元選出の民主党議員に意見を送るというのが、ある程度の効果がありそうに思います。特に次回の参院選で改選の予定の議員は、有権者の意見に多少なりとも耳を傾けざるを得ないでしょう。

例えば、東京都選挙区で次回2010年に改選を迎える民主党議員は、小川敏夫氏、蓮舫氏です。東京大学はじめ、東京都内の大学に所属する若手研究者は膨大な数に上ると思いますので、彼らが有権者の一人として、一斉に意見を送れば、何らかの効果が望めるのでは?意見が物理的にかさばるFAXだと、さらに効果的かもしれません。

小川敏夫氏 info@ogawatoshio.com
練馬事務所 FAX:03-3992-5799
議員会館 FAX:03-3593-0577

蓮舫氏 info@renho.jp
議員会館 FAX:03-5512-2214

このブログの読者は東京、札幌の方たちが多いようなので、北海道のほうも挙げておきますと、2010年に改選を迎えるのは、峰崎直樹 財務副大臣です。

峰崎直樹氏 sapporo@minezaki.net
札幌事務所 FAX:011-280-0150
議員会館 FAX:03-3503-3870
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2009年11月14日

事業仕分け

若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減との結論。
(47NEWSより)

行政刷新会議 「事業仕分け」 評決結果 3日目 第3ワークンググループ (pdf)

一番削ってはいけないところをやってしまいましたね。若手の皆さん、生活に困ったらアメリカに亡命しましょう。

<追記>
投げやりなことを書いてしまいましたが、日本の科学研究の将来に関する深刻な問題であるので、なにか自分にできることはないかと考え、文部科学副大臣の先生に深刻な文面のメールを送りました。読んでもらえるといいのですが。

<追記>
鈴木寛副大臣、中川正春副大臣、後藤斎政務官、蓮舫議員にメールを送りました。またNatureの東京事務所に、本件を取り上げてくれるようメールしました。

何もせずに愚痴を言っていてもしかたないので、皆さんも意見を送ってみてはいかがでしょうか。

「行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください」
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
鈴木寛副大臣、高井美穂政務官宛 suz-tak@mext.go.jp
中川正春副大臣、後藤斎政務官宛  nak-got@mext.go.jp
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2009年10月21日

h 指数

Impact Factorについてばっかり書くと怒られるので、今日は別の指数について書こうと思います。

h指数、またはh-indexと呼ばれるもので、恐ろしいことに研究者個人に点数がついてしまいます。計算方法は至って簡単で、「その研究者が公刊した論文のうち、被引用数がh以上であるものがh以上あることを満たすような数値」ということです。

ここで引用件数と論文の本数が同じhを満たさなければいけないところがポイントで、どんなに高いインパクトの論文を書いても、ただ一報しか書いていなければ、その研究者のh指数は1。どんなに沢山書いても、最大で1回しか引用されていなければ1。

年数を経るにつれ、引用件数は増えることはあっても減ることはないですし、論文の本数も徐々に増えていくでしょうから、年長者が有利なのもポイントです。論文自体の引用件数に基づいていますし、年月を経てから評価される論文も数値に反映されてきます。良い仕事をコツコツ続けた結果が反映されるので、良い指標なのではないでしょうか。

数値の最も高い生物学者は、神経科学者Solomon H. Snyderで、h=191だそうです。

その後に書くとギャップがすさまじいですが、私のh指数は6でした。
(これを引き上げるためには、被引用回数が5〜6回の論文を、頑張ってあと1〜2回、自己引用すればいいわけですが…。操作が効くのはレベルが低いからですが…。)

研究者のキャリアは、特にごく若い頃は論文があるかないか、若手〜中堅になってくるとそれなりに高いインパクトが必要で、ベテランは質と量の両方が重要、と思うのですが、h指数はうまくそれにフィットする気がします。
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2009年10月18日

査読の結果

先日、といってももう2ヶ月以上前ですが、投稿した水玉模様の論文の査読結果が返ってきて、評価はまずまずといったところでした。少々クレームがついた部分について、追加実験が必要かどうか、吟味しているところです。編集部は好意的なので、なんとかなるのではないかと思っています。いずれにせよ、もう少し時間がかかりそうです。

また、アメリカ人ポスドクMさんの論文が、とてもよい雑誌にアクセプトされたとのこと。アフリカ大陸の地理に基づいた壮大な舞台設定でありながら、エンハンサーをbp単位で刻む丁寧で渋い仕事で、かつ結果はクリアーでおもしろく、この分野におけるマスターピースのひとつになることでしょう。私たちが出しているのは別の雑誌ですが、この勢いで後に続きたいところです。
posted by シロハラクイナ at 14:07| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

ハローウィンに似つかわしいハエ

この時期、マディソン近郊の農場でも、ハローウィン用のカボチャを栽培しているところを見かけます。オレンジ色のカボチャがゴロゴロしているのでとても目立ちます。

中には割れてしまったものもあって、そうするとそれなりに色々な虫が寄ってくるようです。このハエは、この縞々と、野菜を好む性質からして、ヒョウモンショウジョウバエDrosophila (Dorsilopha) busckiiではないかと思います。大きさはキイロショウジョウバエDrosophila (Sophophola) melanogasterと同じくらい、だいたい2mmぐらいでしょうか。

buskii.jpg
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2009年09月30日

サモアで津波

サモアで大地震、津波が発生しているとのニュース。ボスがわざわざみんなに知らせて回っています。というのも、近いうちに数名がサモアに行く予定があったのですが、ハエの米国本土への持ち込み許可を待っている状態だったのです。

この地震のために、少なくとも今年中のサモア行きの可能性はなくなった気がします。道路などが、どのくらいダメージを受けているかにもよりますが。ハエはたぶん大丈夫でしょう。それはそれとして、現地の人々の被害が大きくないことを願うばかりです。
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2009年09月11日

マディソンに帰還

しばらく日本に行っておりました。進化学会@札幌にてワークショップ、議論も活発に行われ、大変有意義でした。関係者の皆様、飲み屋探しに奔走してくれた方々、どうもありがとうございました。M研のメンバーも、徐々に入れ替わりつつあるようですが、みんな楽しそうに研究しているのはいい伝統ですね。トカゲの水槽がやや移動していましたが、彼らも元気そうでした。
その後、首都大で教室セミナーをさせて頂きました。こちらも多くの質問、アドバイスをいただき、とても有意義でした。懐かしい人たちにも会えました。首都大は私がいた頃(10 年前!)と比べ、木々が生長して緑が濃くなった気がします。
長時間のフライトは相変わらずきらいです。ミネアポリスは、乗り継ぎ空港としては好きな方ですが、荷物の再検査担当のアジア系のおばさんの態度が本当に悪くて、閉口しました。マディソン空港に着くと、施設もきれいで、人々がおだやかで、ほっとします。
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2009年08月22日

経過

先日投稿した論文は、無事に担当編集者が決まり、査読に回ったとのこと。査読コメントが帰ってくるまでにひと月ほどかかるとのこと。しばらく待つのみです。もちろん、そのストーリーの続きとなるはずの実験も鋭意継続中です。
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2009年08月11日

論文投稿

さて、マディソンに来て1年と4ヶ月、ドイツ人T氏とやってきたプロジェクトが一段落し、論文を投稿する運びとなりました。著者は4人で、T氏がfirst authorで、私はequally contributedの2番目、3番目にこのあいだ別の大学に栄転したアメリカ人T氏、lastがボス、です。

ボスは百戦錬磨なので、投稿する上での雑誌の選定や、編集部との交渉にも長けています。カバーレターには特に気合いが入っていて、ダーウィンの書簡から一説を引用した、大変に粋なものでした。さて、どうなることか。
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2009年07月07日

アリと次世代シーケンサーと高校生

ウィスコンシン大などのチームは、3種のハキリアリと、共生菌類およびバクテリア14種のゲノム配列を読むプロジェクトを開始します。

Sequencing effort to chart ants and their ecosystem

ポイントは、ロシュの協力により、FLX Systemが大量のシークエンスを吐き出してくれることと、アノテーションなどの手のかかる部分を、学部生や高校生に手伝わせる、というところですね。

研究室のUndergradの話によれば、すでに授業中に勧誘が行われている模様です。最新の研究に触れるチャンス!とか言って…。猫の手も借りたいってところですかね。

なんか、この手の話は、どこかで聞いたような…と思ったら、ミルウォーキーの博物館の話でした。ボランティアを巧みに使うのは、ウィスコンシンの伝統か…。
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2009年06月30日

Impact Factor 2008

うっかりしているうちに、Impact Factor 2008が公表されていました。

例年通り、定番どころと、気になる動きをメモ。


---有名ジャーナル編---

Nature 31.434 微増

Cell 31.235 微増

Science 28.103 微増

PLoS Biology 12.683 微減

Current Biology 10.777 微増

P NATL ACAD SCI USA 9.380 微減


---気になった動き編---

PLoS Genetics 8.883 微増 かなり高いレベルをキープ

Development 6.812 微減 凋落傾向で心配

Developmental Biology 4.416 減 もっと心配


---常連ジャーナル編---

Naturwissenschaften 2.126 微増

Insectes Sociaux 1.015 大幅減(どうしたー!?)

Zoological Science 1.100 微減

Entomological Science 0.522 減

Journal of Morphology 1.702 微増

Evolution & Development 3.627 微減


---活用してはいかが編---

Journal of Insect Science 0.963 微増
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2009年05月14日

新しいMacが欲しい

そろそろ新しいMacが欲しい今日この頃ですが、おもしろいニュースがあったのでリンクします。記者はぜったいにMacユーザーでしょうね。ちなみにC研ではMac派とPC派が拮抗しています。

「マイクロソフトのMac批判広告」はMacで作成 (Wired Vision)
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2009年03月25日

余剰博士問題

どうも、余剰博士のシロハラクイナです。余剰博士の問題について、かなり辛辣に、しかし的確な指摘をされているブログを見つけたので、リンクさせていただきます。どこかの研究者の匿名ブログのようですね。気持ちが落ち込んでいる若手研究者の方は、みないほうがいいかもしれません…。

唯乃博の博士万歳

なんというか、辛口ですが、厳しい言い方をするとそんなもんかな、と。言いにくいことをズバッと言ってくれていますし、おおむね同意できます。

でも、このブログで紹介されている、「博士たちのワーキングプア」の番組(テレビ東京・テレビ大阪制作?)に登場する京大のニクラグァ研究者の佐々木さん、とても幸せそうに見えてしまいました。食費を削って、本をどっさり買って、職は非常勤講師だけれど、近い分野の研究者にも評価されているみたいだし、廃業した病院で暮らして、京都の街を自転車で講義に出かけて…。色々な見方があるでしょうけれど、ある種の贅沢というか、充実した暮らしなのではないかと感じました。ちょっとロマンチックすぎるかな?

ついでに、この問題についての個人的な気持ちを書いておきたいと思います。私自身はこの道に進んだことを後悔していませんし、これまで過ごしてきた研究環境も、恵まれているほうだとも思います。生命科学は、分野としても非常に優遇されていますし。

家族には迷惑や心配をかけていますが、自分としては最も幸せな人生を歩んでいると思っていますし、もういちどやり直せるとしても同じ道を選ぶと思います。いや、やり直せるなら認知科学とか、そっちのほうも面白いかもしれない…いずれにしろ、研究者ほど面白い仕事はほかにないと思っています。

おそらく余剰博士の問題は、個々人としては、どこまでわがままが許されるか、まわりの理解が得られるか、という問題ですね。なので、自分ではわがままを貫いているくせに、後輩に同じ道を勧めるのには気がひけます。とはいえ、止められてもそれを振り切って研究者を目指してほしいし、そのくらいのガッツがないと生き残れませんしね。私もいつかこの道を断念しなければいけない時が来るとしたら、潔くやめることもやぶさかではありませんが、いまのところいい風が吹いている気がしますし、このままいければいいなと思っています。研究のみに関して言えば、自分の研究者としての発達段階というか、いまのステージにしては、いまの環境はこれ以上ない最高のものだと思います。

余剰博士問題は、政策的な観点からは、またいろいろな議論がありうると思いますが、自分が政策を立案する立場だった時に、より有効な提案ができたかと問われれば自信がありません。文句をいうのは簡単ですが、ほかにどんな手があったのかと。これについては、自分がたまたまうまくサポートを受けてきているために、批判しにくいということもありますが。
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2009年03月21日

RNAiヤメタ

ここのところ、RNAiコンストラクトを作ろうとしていたのですが、おきまりの組み替えに悩まされ、関係諸氏と協議した結果、いさぎよくやめることにしました。

ショウジョウバエでは、同一の遺伝子配列を向かい合わせに並べて、プロモーターとつないだものを導入することで、RNAiの実験を行うのが普通です。ゲノム中に導入された後、転写され、ヘアピン構造をとったRNAが、Dicer等で切断されて、siRNAになるわけです。私もかつて別の虫をやっていたときには、in vitro転写で手作りした dsRNAを個体に注射して、体全体に効くことを期待していました。ハエのように、遺伝子導入に基づいた方法ならば、GAL4-UASシステムと組み合わせて、望みのタイミングと場所で、遺伝子をノックダウンできることから、なかなか便利なわけです。

しかし、導入するコンストラクトの準備にはそれなりの手間がかかるし、同一配列を向かい合わせたものをプラスミドに持たせるために、大腸菌の機嫌が悪いと(?)、すぐにそのヘアピン部分を組み替えて捨ててしまうようなのです。まぁこういうことが起こるのは有名な話で、培養時間を短めにしたり、ヘアピンの間にスペーサーを入れたり、組み替えを起こしにくい大腸菌株を使ったり(酵母を使うという技もあるらしい…)、いろいろやってみたのですが、だめ。まだまだ試していないオプションはいろいろあるのですが、他にも平行していろいろやっているので、これだけにこだわることもなかろうということで、やめました。まぁ昔風にいえば転進というやつです。

しかし、今回は戦わずして逃げますが、いつかまた同じ敵に遭遇しそうな予感がしています。
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2009年02月17日

続 Impact Factorとは (数値をつりあげる、よくない方法)

学術雑誌の編集長としては、いかにインパクトファクターを上げるかに関心があるでしょうし、雑誌の置かれている状況によっては(存亡の危機とか…)、数値を上げることが急務になっている場合もあろうかと思います。理想論では、掲載される論文の質が上がれば自然に数値も上がると思われますが、当然どの雑誌もそのような努力はしているはずですので、そのうえさらに、となると何か思い切った方法が必要なのかもしれません。

一時的にしろ、(場合によってはフェアでない)何らかの方法によって数値を引き上げることができるならば、それによって雑誌の人気も高くなり、増えた投稿論文のなかから厳選して掲載することにより、さらに数値が上がる…という好循環が生まれることが予想されるため、そうしたいと思う編集者の方もいるのではないかと思います。

おだやかな方法は、論文の投稿者に対して、同じ雑誌に既に掲載されている論文を積極的に引用してくれるように依頼するというもの。大きな声ではいえませんが、私もそういう要請を受けたことがあります。(採否に関わるタイミングでのプレッシャーではなくて、アクセプトの通知に、これからもよろしく的な感じで書かれていた。)それだけが原因とは思いませんが、実際にその雑誌は、その前後でImpact Facotorが2倍近くに上昇し、その後、数年に渡ってそのままの水準を維持しています。

英語版のWikipediaには、"Manupilation"として、いくつか、数値をひきあげる方法が紹介されています。最も面白かったのが、Impact Factorの不条理さに怒った、ある雑誌の編集者がとった行動。(なお当時の雑誌のImpact Factor 0.66、これはかなり”低め”と言っていいと思います…。)

"Editorial" の記事を自分で書いて掲載し、そのなかで、前年と前々年に同じ雑誌に掲載された論文をすべて引用し、Impact Factorの弊害、それを分野ごとの予算配分に使うことへの異議を述べています。ついでに投稿や掲載の傾向についてのちょっとした分析も加えていますが、これは明らかに"ついで"のようです。何しろ、論文の中で、このように明言してしまっていますので…。
"While the primary goal of this article is to increase the impact factor of the journal, it also provides potentially useful information on the distribution of the articles published in the journal."
"(意訳)この記事の主な目的は、本誌のインパクトファクターを増加させることにあるが、ついでに、この雑誌に掲載された論文の普及に、もしかしたら役立つかもしれない情報も載せておくことにする。”

この結果として、翌年のImpact Factorは、2倍以上である1.44に上昇したとのこと。これで良かったのか、何なのか…。上がったと言って喜んでは、記事の趣旨に反するような気もしますしね。

ちなみに、その記事を読みたい方は以下のリンクからどうぞ。雑誌は、音声医学・言語医学の雑誌のようですね。ともかく面白い編集長ですね。

Reaction of Folia Phoniatrica et Logopaedica on the Current Trend of Impact Factor Measures.
Harm K. Schuttea, Jan G. Svec (2007)
Folia Phoniatrica et Logopaedica 59(6): 281–285.
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2009年02月16日

Impact Factorとは

Impact Factor (インパクト ファクター) とは、Thomson Reuters (トムソン・ロイター) によって算出、発表されている、科学雑誌の”質”を示す指標です。ある雑誌に掲載された論文が、2年以内に他の論文に引用された回数の平均を示す、とされています。現実的には、0から50くらいの値をとります。超一流誌といわれるNatureやScienceが、だいたい30前後です。

所属している大学や研究機関が契約していればJournal Citation Reportsから見ることができます。個人で見たい場合には、適当にgoogleなどで検索すると、どなたかが勝手に公開してしまったリストなどで見ることができます。

実際の計算では、例えばImpact Facotor 2007の計算においては、2007年に引用された事例の全てについて、特定の雑誌に2005年に発表された論文を引用した件数と、2006年に発表された論文を引用した件数を合計し、それをその特定の雑誌の2005年、2006年の総論分数で割る、という算出方法です。ですので先ほどの書き方は厳密性を欠きますが、ひとことで説明したらこんなものでしょう。実際に自分で計算する人はほとんどいないでしょうし。

まぁとにかく、善し悪しはともかくとして、研究者は多少なりとも気にしなければいけない数値です。どんな指標や格付けも、鵜呑みにしたり絶対視したりするのは禁物ですし、重視しすぎることによる弊害もありますが、何も情報がないよりはずっとましでしょう。一般的に言われる問題点については、日本語版のwikipediaによくまとめられているようです。
インパクトファクター (Wikipedia)

また、トムソン・ロイターの公式サイトにも、よい解説があります。
インパクトファクターについてのQ&A

英語版のwikipediaはさらに充実していて、インパクトファクターの問題点に加え、雑誌編集部の努力(?)によってつりあげる方法や、世間のイメージによりよく一致する指標の試みなど、とても面白く、勉強になります。
Impact Factor (Wikipedia)

(ところで、なぜいきなりこんなエントリーを書いたかというと、今日すごく久しぶりにアクセス解析を見てみたところ、google経由でこのページに来る人のほとんどが、インパクトファクターに関する検索語で来ていることがわかったからです。ちなみに、次に多かったのが ”バロット” で画像検索というパターン。どんな記事でも、書いてみるもんだ…!)
posted by シロハラクイナ at 02:00| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月07日

ダーウィン年につき

今年はダーウィン生誕200年。「種の起源」刊行から150年。世界中で様々な記念イベントが行われているようです。

そんなわけで、ダーウィンの思想を継ぐ者として活動中のボスのもとには、連日マスコミの取材がやってきます(ダーウィン年に合わせて、にわかダーウィニストになっているような気がしないでもない。流行に乗るのが本当にうまい)。ナショナル・ジオグラフィックとか、地元のラジオ局とか。先月はBBCの番組制作のためにイギリスに出張していたし、本当にフル回転です。そして、このタイミングに合わせて、ダーウィンと同時代の冒険家たちの活躍の記録をたどった本「Remarkable Creatures
」も書いて、マスコミ露出のたびにしっかり宣伝している…。

今朝ラボに来たら、実験室の一角にテレビの撮影機材が並べられていて、ボスが顕微鏡を覗いて何かしゃべっている…というか、ディレクターにしゃべらされている模様。しかたないので実験室の反対側で、実験を始めたら、「お、あそこにちょうどいいヤツがいるぞ!ちょっと撮らせて。」という感じで否応なく撮影され…。ディスカバリー・チャンネルらしいので、そのうち全世界に放送されてしまうかも。寝癖がついたまま、E.coliのコロニーを拾ってmilliQで薄めている姿が…。

明日は、ダーウィン・デーと称して、学内で記念イベントが行われます。ボスの講演会と、サイン会もあるのだとか…。
posted by シロハラクイナ at 10:36| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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