生物学・科学に関する雑感。

現在ウィスコンシン・マディソンに研究留学中


2013年06月27日

論文の書き出し

論文を書かなければいけないのですが、なかなか書けません。特に本文の書き出しに苦労しています。小説では、はじめの一文が最も重要で、それゆえ書き出しが最もつらいとも言われます。

参考にしてみようと、過去の研究室の先輩方の論文の書き出しを集めてみました。この研究室では、だいたい狙いが大きいので、壮大なスケール感を持った書き出しが多いです。

Understanding the genetic origins of biological novelties remains one of the central quests of evolutionary biology.
壮大すぎて、研究を旅に例えちゃってます。questと聞くと、ドラクエを連想してしまいます。

The complex body colour patterns of reef fish, snakes and birds, to name just a few of the more vivid examples, are understood to have many roles in animal ecology, as well as forming some of the most beautiful designs in all of nature.
これは2010の私たちの論文ですが、見て分かるように明らかにボスが書いています。自然番組の冒頭って感じですね。

Three major challenges for understanding the genetic and molecular bases of morphological evolution are to identify loci underlying trait divergence, to pinpoint functional changes within these loci, and to trace the origin of functional variation in populations.
この分野における3つの挑戦というのを掲げて、全部解決してやるという強気な書き出し。

Chemical communication is widespread in the animal world.
これはちょっと散文的です。

Sexual dimorphism is widespread in the animal kingdom.
先ほどのと似ていますが、こちらがオリジナルでしょうか。

A long-standing question in evolutionary biology concerns the mechanisms through which morphology evolves.
これなんか、そのまま自分の論文に使えそうですが…。

これらを参考にしつつ、なんとか自力で書いてみたいと思います。
posted by シロハラクイナ at 03:53| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

Impact Factor 2012 (インパクトファクター 2012)

Impact Factor 2012が出ましたね。もう速報性ではTwitterにかなわないですが、毎年恒例なので書いておきましょう。

今年の目玉は、

Scientific Reports 2.927

今年は1年目なので、来年はもう少し上がるでしょう。4.0くらいと予想しておきます。なんだか天気予報みたいになってきた。

昨年、今年のNat Communを9.2と予想しましたが、正解は10.015でした。 

有名どころ
Nature 38.597 増
Science 31.027 微減
Cell 31.957 微減
Nat Commun 10.015 増
P Natl Acad Sci USA 9.737 微増
PLoS ONE 3.730 減

生物学総合
PLoS Biol 12.690 増
Curr Biol 9.494 微減
BMC Biol 6.531 増
P Roy Soc B-Biol Sci 5.683 増

発生生物学
Dev Cell 12.861 減
Gene Dev 12.444 増
Development 6.208 減
EvoDevo 3.914 New
Dev Biol 3.868 減
Evol Dev 3.155 増
BMC Dev Biol 2.728 微減
Int J Dev Biol 2.614 減
Dev Dynam 2.594 微増
Dev Growth Differ 2.397 増
Mech Develop 2.383 減
J Exp Zool Part B 2.123 減
Dev Genes Evol 1.695 減

進化生物学
Evolution 4.864 減
J Evolution Biol 3.479 微増
BMC Evol Biol 3.285 減
Evol Biol 2.386 減
Ecol Evol 1.189 New

ゲノム科学
Genome Res 14.397 増
Genome Biol 10.288 増
Genome Biol Evol 4.759 微増
BMC Genomics 4.397 微増
Genomics 3.010 微減

生化学
J Biol Chem 4.651 減
FEBS J 4.250 増
FEBS Lett 3.582 微増
Biochem Bioph Res Co 2.406 微減

昆虫学
Insect Biochem Molec 3.234 微減
Insect Mol Biol 3.044 増
J Insect Physiol 2.379 増
Ecol Entomol 1.954 微減
Entomol Exp Appl 1.669 増
Arch Insect Biochem 1.515 増
Physiol Entomol 1.417 増
Insect Soc 1.331 減
Entomol Sci 0.981 増
J Insect Sci 0.875 減
Appl Entomol Zool 0.819 減

気になる雑誌
Naturwissenschaften 2.144 微減
Zool Sci 1.076 微増

順次書き足します。
posted by シロハラクイナ at 13:34| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月29日

Impact Factor 2011

Impact Factor 2011が出たようですね。

今年の目玉は何と言ってもNature Communicationsではないでしょうか。一説にはPLoSに対抗するために出したなどと言われますが、1年目の被引用データはどう出たでしょうか。

Nat Commun 7.396

ほぼ予想どおりではないでしょうか?Nature Communicationsのサイトによれば、「Nature Communications には、科学の領域における質の高い論文が掲載されますが、必ずしも Nature や Nature 姉妹誌に掲載される論文ほど広範囲にわたる科学的影響力をもつ必要はありません。」ということ、さらに姉妹紙(IF10-30くらい)に掲載されなかった原稿も回ると言うことで、しかしNatureのブランドもあるし、このくらいでしょう。

さらに、今年のデータは、1年分のデータ(2009年に出版された論文が2010年に引用された回数)に基づいているので、来年はもう少し上がると予想します。私の予想は9.2と書いておきます。

Nature Publishing Groupの担当者は、IF10-20くらいを目指して創刊していると言っているので、この発言は少し「盛って」いるとして、だいたい彼らとしても思惑どおりなのではないでしょうか。このリンク先には、オープンアクセスと学術出版の未来についての出版社の方たちの議論がまとめられており、大変おもしろいです。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20120229/1330530968

あとは、目立ったところでは、Scienceの数少ない姉妹紙であるScience Signelingですが、去年もでていたんですかね?気がつきませんでしたが、数値が出て二年目のようです。

Sci Signal 7.499 増

他の雑誌について追記していきます。まだまだ足して行きます。

CNS
Cell 32.403 横ばい
Nature 36.403 横ばい
Science 31.201 横ばい

Insect系
Insect Biochem Mol Biol 3.246 押し目
Insect Mol Biol 2.529 微減
J Insect Physiol 2.236 微減
Syst Entmol 2.943 増
Ecol Entomol 1.995 増
Entomol Exp Appl 1.535 増
Bull Entomol Res 1.882 高止まり
Arch Insect Biochem 1.361 減
Physiol Entomol 1.330 減
J Insect Sci 0.947 微減
Entomol Sci 0.673 微減


社会性昆虫
Insectes Soc 1.696 増
Sociobiology 0.618 増

Development系
Dev Cell 14.030 微増
Genes Dev 11.659 減
Development 6.596 減
Dev Biol 4.069 微減
Dev Dynam 2.536 減
Evol Dev 2.470 減
J Exp Zool Part B 2.416 下げ止まり?
Dev Growth Diff 2.210 微減
Dev Genes Evol 1.774 減

Genomics・分子進化系
Genome Res 13.608 微増
Genome Biol 9.036 増
Mol Biol Evol 5.550 微増
Genome Biol Evol 4.618 増
J Mol Evol 2.274 減

遺伝学
Genetics 4.007 微減
Heredity 4.597 微増
PLoS Genet 8.694 減
Genetica 2.148 減
J Hered 2.799 増

生態学
Ecology 4.849 微減
Funct Ecol 4.567 減
Mol Ecol 5.522 押し目
Mol Ecol Resour 3.062 増
Ecol Lett 17.577 増
Oikos 3.061 減
Oecologia 3.412 減
Ecol Res 1.565 増

総合誌
PLoS ONE 4.092 減
PNAS 9.681 微減
Naturwissenschaften 2.278 微増

生物学
PLoS Biol 11.452 微減
Curr Biol 9.649 減
P Roy Soc B 5.415 増
Biol Lett 3.762 増

進化・行動生物学系
Evolution 5.146 減
J Evol Biol 3.276 減
Anim Behav 3.493 増
Behav Ecol Soc 3.179 増
Behav Ecol 3.083 増
Am Nat 4.725 横ばい
Ethol Ecol Evol 0.743 増
J Ethol 1.183 回復

系統学
Mol Phylogenet Evol 3.609 減
Cladistics 5.250 減

生化学・分子生物学
EMBO J 9.205 減
J Biol Chem 4.773 減
Biochem J 4.897 減
FEBS J 3.790 増
FEBS Lett 3.538 微減
Biochem Bioph Res Co 2.484 減

BMCシリーズ
BMC Biology 5.750 増
BMC Genomics 4.073 微減
BMC Evol Biol 3.521 微減
BMC Dev Biol 2.790 下げ止まり?
BMC Genetics 2.475 微減
BMC Mol Biol 2.857 減

形態学
Zoomorphology 1.283 減
J Morphol 1.539 減
Arthropod Struct Dev 2.122 増

動物学
Zool J Linn Soc Lond 2.433 増
J Exp Zool Part A 1.642 増
Zool Sci 0.952 減
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2012年06月09日

Canon MP-E65mm

Canon EFレンズ MP-E65mm F2.8 1-5Xマクロフォト マクロレンズ / キヤノン

生きたショウジョウバエの撮影には、このレンズを使っています。昨日のguttiferaの写真もこれで撮りました。sparnosさんのおすすめです。確かに、ショウジョウバエサイズには最適です。

組み合わせているカメラのボディはEOS Rebel T3という機種で、日本ではEOS kiss x50という機種に相当するようです(要は最もお手軽な機種です)。本体は軽いですが、レンズと、ストロボも付けるとかなり重く、しばらく撮影していると手が震えてきます。照明の方法、ショウジョウバエの置き方など、まだいろいろと試行錯誤しています。
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2012年06月08日

Drosophila guttifera

guttifera.JPG

Drosophila guttifera (和名なし)
Species group:quinaria
分布:アメリカ東部
餌:sugar food (野外ではキノコ)
挿し紙:不要
飼育難易度:中
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2012年02月08日

Remarkable Creatures (New York Times)

うちのボスは、ニューヨークタイムズに連載を持っています。おもしろ生物ネタという感じですが、それをうまく一般的なテーマに結びつけていて、このスタイルは彼の日頃の教育活動にリンクしているようです。かつて、私も小ネタを提供したことがありました(フグの逸話)。

最新の記事は先月末のもので、サーベルタイガーと気候変動、絶滅の話です。

http://topics.nytimes.com/topics/news/science/columns/remarkable_creatures/index.html
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2011年11月12日

TPPはまったく話題になっていない

アメリカでは、少なくともここマディソンでは、TPPは全く話題になっていませんし、こちらのニュースサイト、テレビなどでも全く聞いたことがありません。もちろん専門家や国際情勢にとても詳しい人は知っているのでしょうが、それでも数多くある政治課題のひとつに過ぎないと思います。日本での報道の多さと比べると対照的だと思います。

アメリカにとってTPPはどういう意義を持っているのか、に関しては、大前研一氏の指摘が納得のいくものです。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111107/289750/?ST=business

また経済の視点から見たTPPの利点、または反対派の根拠の無さについては、池田信夫氏のコラムが有名だと思います。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/

自由貿易の問題は、グローバリズムをどう考えるかという問題でもあります。TPPがどうなろうとも、世界中で同一労働同一賃金に向かって行く流れは止められませんし、それを制限することにどのような理論的、道義的根拠を与えることができるのか私にはわかりません。
posted by シロハラクイナ at 01:58| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月06日

Madの名前の由来

そういえば、Mad (Mothers against dpp)の名前の由来について、長いこと疑問に思っていました。なぜmotherではなくて mothers、ofでなくagainstなのかと。

先日、何気なく同僚に訊いたところ、あっさり教えてもらうことができました。Mothers against drunk drivingという社会運動をもじっているのだとか。それで裏をとろうと調べてみると、確かに「Imaginal Discs」にも同様の記述がありました。

Imaginal Discs: The Genetic and Cellular Logic of Pattern Formation (Developmental and Cell Biology Series) [ハードカバー] / Lewis I. Held Jr (著); Cambridge University Press (刊)
posted by シロハラクイナ at 05:05| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月25日

旭川

しばらく日本に来ています。旭川、札幌から、つくば、三島と巡る予定です。

動物学会(旭川)での関連集会は好評でひと安心。オーガナイザーの方たちに感謝です。札幌のボスは奨励賞受賞、おめでとうございます。教育賞を受賞したムツゴロウさんに握手を求めたら、思いのほか会話が盛り上がってしまい、カメラが寄って来て「とくダネ!」に出てしまうという意外なハプニングもありました。
posted by シロハラクイナ at 21:24| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月11日

なぜ新ジャーナルはCellやNatureを超えられないか

このあいだ、来年創刊される新ジャーナルについて、私は応援したいけれども、そのステータスはCellやNatureを超えないだろうと書きました。そう考える理由を書きたいと思います。

1. 投稿する側の心理
もしもあなたがCellもしくはNatureに載るくらいのデータを持っていたらどうするか?将来的にどんなステータスになるかわからない新ジャーナルに投稿するでしょうか?履歴書にCellやNatureがあれば、それがベストでしょう。仮に新ジャーナルがCellやNatureと同程度のステータスになったとしたって、同格ならば問題ないです。一番最初から新ジャーナルに投稿する人がいるとしたら、新ジャーナルのほうが将来は高いステータスになると踏んでいる人か、CellやNatureを恨んでいるPIなどが考えられますが、そう多くはないでしょう。創刊直前には、有名PIのもとに「ぜひ投稿してほしい」という案内が行くでしょうが、筆頭著者などの若者の将来がかかっていますから、いくら新ジャーナルを応援したいとしても、はじめから新ジャーナルに、という決断はしにくいでしょう。自分が筆頭で、すでに一流ジャーナルに沢山論文がある人は、バラエティーをだすために新ジャーナルに、ということも考えられますが、これも多くはないでしょう。

2. では、どんな原稿が集まるか
なかなかいいけれども、CellもしくはNatureに載せるのは難しそうな原稿、もしくはリジェクトされた原稿が集まるでしょう。そうすると、Cell姉妹紙、Nature姉妹紙くらいのレベルの原稿が集まるのではないでしょうか。まさにこういうことが起こったのがPLoS Biologyの創刊のときだったと思います。今回も同じことが起こるでしょう。

3. 最初から、トップをとるにはどうしたらいいか
この新ジャーナルがトップを採るためには、入念に作戦を練るべきです。前記のように、たぶん普通に原稿を集めてはだめです。有名PIに、ご祝儀で先端的なレビューを書いてもらい、レビューをたくさん載せる。オリジナル論文は、極端に数を抑制し、ずばぬけたものだけを載せることです。また、メソッドやプログラムに関する論文も、特に厳選して載せるといいでしょう(まれに数千回引用されるお化け論文になる可能性があるため)。これを2年ほど続けると、研究者のコミュニティーのなかで、非常に優れた論文しか載らない雑誌として認知され、また高いIFが付くでしょうから、これでやっと一流紙と互角のスタートが切れるでしょう。

4. 他にも、レベルを下げる要因が
新ジャーナルを立ち上げる大義として、現在の一流紙は査読者による書き直しや追加実験の要求がきつすぎることが挙げられています。裏を返せば、新ジャーナルではこのような要求が弱まるということで、著者にとっては楽になるものの、論文の質の低下につながるでしょう。大義を守りつつ、トップをとるのはとても難しいミッションになるでしょう。
posted by シロハラクイナ at 06:23| シカゴ ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月30日

Impact Factor 2010 (インパクトファクター 2010)

さて、今年も新しいインパクトファクター(IF)が発表されました。ざっと見たところ、あまり目立った変化はありません。2年目のPLoS ONEがほぼ同じ数値を保っているのが良いニュースでしょうか。

有名ジャーナル編
Nature 36.101 増
Cell 32.401 微増
Science 31.364 増
PLoS Biol 12.469 減
Curr Biol 10.025 微減
Proc Natl Acad Sci USA 9.771 微増

発生関係
Dev Cell 13.946 微増
Genes Dev 12.889 回復
Development 6.898 減
Dev Biol 4.094 減
Evol Dev 3.075 微減
Mech Dev 2.958 増
Dev Dynam 2.864 変わらず
Int J Dev Biol 2.856 増
BMC Dev Biol 2.781 減
J Exp Zool B 2.373 減
Dev Growth Diff 2.284 変わらず
Dev Genes Evol 2.008 微減

昆虫関係
Insect Biochem Mol Biol 4.018 昨年初の3越えだったのに、なんと今年は4越え。
Insect Mol Biol 2.669 微増
B Entomol Res 1.909 増
Insectes Soc 1.425 微減
Entomol Sci 0.686 微増

その他の優良ジャーナル
Proc Roy Soc B 5.064 増
PLoS One 4.411 微増
BMC Genomics 4.206 増
FEBS Lett 3.601 微増
Naturwissenschaften 2.250 微減
Zoomorphology 1.800 微増
J Morphol 1.773 微増
J Exp Zool A 1.500 微増
Zool Sci 1.087 回復
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2011年06月29日

来年の夏に新しい生命科学ジャーナルが創刊される

たぶん研究者コミュニティーにとっては大きなニュースだと思うのですが、Howard Hughes Medical Institute, Wellcome Trust, Max Planck Societyが中心になって、新しい生命科学ジャーナルを創刊するということです。最高のジャーナルを目指し、オープンアクセス、少なくとも最初の数年は掲載料も取らないということです。

Three Biomedical Funders to Launch Open Access Journal (Science)

創刊のモチベーションになっているのは、トップジャーナルでは科学者でない人間によって編集が行われ、採否の決定権は編集者にあるものの、科学的妥当性を巡ってレビュワーと何度もやりとりするために査読が長引き、何度も何度も修正やデータ追加を要求されることに対する不満があるようです。

似たような経緯で創刊されたPLoS Biologyは、生命科学誌のトップであるCellを喰ってしまうほどにはならなかったし、前にも書いたように著者から掲載料を取るモデルで経営的に行き詰まり、中位ジャーナルであるPLoS ONEを創刊することで持ち直しましたが、今となっては圧倒的論文数を持つPLoS ONEのほうが主役になってしまった感があります。(例えば、2008-2009の論文数は、PLoS Biology 214に対し、PLoS ONE 6714です。実に30倍以上。)

今回の試みの新しい点は、この3つの母体が圧倒的な資金力を持つことで、正直なところ、ジャーナルが赤字だろうとまったく構わないのでしょう。なので、査読者にギャラを払うという噂まであるようです。

Natureは相変わらずこの手の動きには批判的で、内部のライターを使って「ビジネスモデルが見えない」と書かせていますが、今回の動きは営利目的ではないので、まったく的はずれでしょう。PLoSのときには、批判的な割にはNature CommunicationsやScientific Reportsなどを創刊して、対抗意識まるだしでしたが、さて今回はどうなるでしょうか。

Three major biology funders launch new open access journal, but why exactly?

私個人的には、やっぱりCellやNatureを喰うところまでは行かず、PLoS BiologyやCurrent Biologyあたりと一緒に団子になると予想しておきます。でも、もしも本当にトップを奪ったら快挙なので応援したいです。
posted by シロハラクイナ at 04:45| シカゴ ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月11日

トップジャーナルのありかたについて

トップジャーナルのありかたについて、あまり語る資格はなさそうですが、小物だけに言えることもあると思うので言っておきます。

生物学の研究者にとって、CNSあるいはビック3と言われる、Cell, Nature, Scienceですが、これらは他の多くの専門誌と色々な点で異なっていると思います。特に顕著な違いは、編集長、編集者らが、現役の科学者でなく、多くがPhDを取った後に出版界に転じた人たちということでしょうか。つまり論文の採否の最終決定が、科学者でない人によって行われるということです。

彼らは多くの一流の論文を読んできていますから、かなりの見識があるのは確かだとは思いますし、レフェリーはその分野にフィットした専門家がやりますので、論文の個別具体的な問題点についても見落とさないことが期待されますが、現実的には見落とすこともあるでしょう。そして、採否の際に、データや論理構成とともに、あるいはそれ以上に重視されるのが、分野の垣根を越えた革新性、インパクトなどです。これは商業誌である以上、おそらく仕方のないことで、彼らの目的関数は、科学の進歩、ではなくて、商業的成功(=部数)であるだろうからです。つまり本当であろうと無かろうと話題になったもの勝ちということですね。これはNatureで特に見られる傾向だと思います。


では、編集長、編集者を現役の科学者にやってもらうといいのでは?と思いますが、トップジャーナルともなると、投稿量は半端じゃないので両立は困難ですし、編集者や彼らと親しい人の研究室からその雑誌に論文が出ると、ひいきしているのではないかという目で見られるなど、別の問題が出てくると思います。

PLoS Biologyは、既存のトップジャーナルへの不満がたまっていた科学者による設立、運営で、トップジャーナルを目指しましたが、いまのところ、上記の3誌ほどの地位は得られていないです(そして、言いにくいけれど"お友達が有利" との批判も聞かれないことはないです。)。また、オープンアクセスであるという別の問題との関係が強いですが、経営的にはPLoS Biologyは失敗したと言われていて、PLoS ONEとセットにすることでやっていけているという状況です。しかし、個人的には、PLoSは既存のシステムに風穴を開けたという点で、大いに評価されるべきと思います。Nature Communicationsの創刊はPLoSに対抗する意図だと思いますし、既存の雑誌の地位がずっと安泰であるわけではないと思います。何にせよ、絶対的な権威があるというのは面白くなくて、常に栄枯盛衰やターンオーバーがあるというのが健全なのではないでしょうか?

私個人の好みで言えば、いまだに読んで一番面白いのはNatureだと思いますし、時々変な論文が載るのも楽しみです。ただ長く権威の座に留まり過ぎではあると思います。科学的な健全さで言えばCellが理想なのでしょうが、ちょっと退屈なところがありますね。
posted by シロハラクイナ at 14:55| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月13日

National laboratory mustache day

2月11日は、全米研究室ヒゲの日です。

http://labmustacheday.blogspot.com/
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2011年01月27日

祝20万ヒット

ご愛読ありがとうございます。

カウンターのセッティングは適当ですが、まぁだいたいということで。このブログは開設してからもう5年が過ぎました。
posted by シロハラクイナ at 17:29| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月26日

論文って意外に読まれているのかもしれない

最近、共著も含めて3本の論文がBMCシリーズの雑誌に掲載されていますが、今日はじめて、「My BioMed Central」というところに登録してみました。すると「My Manuscripts」というコーナーに自動的に自分の論文のリストが表示され、これまでの閲覧回数を見ることができます。

http://www.biomedcentral.com/my/

The homolog of Ciboulot in the termite (Hodotermopsis sjostedti): a multimeric β-thymosin involved in soldier-specific morphogenesis
Shigeyuki Koshikawa, Richard Cornette, Tadao Matsumoto, Toru Miura
BMC Developmental Biology 2010, 10:63 (8 June 2010)

Total accesses to this article: 1041

Gene expression changes during caste-specific neuronal development in the damp-wood termite Hodotermopsis sjostedti
Yuki Ishikawa, Yasukazu Okada, Asano Ishikawa, Hitoshi Miyakawa, Shigeyuki Koshikawa, Toru Miura
BMC Genomics 2010, 11:314 (20 May 2010)

Total accesses to this article: 944

Gene up-regulation in response to predator kairomones in the water flea, Daphnia pulex
Hitoshi Miyakawa, Maki Imai, Naoki Sugimoto, Yuki Ishikawa, Asano Ishikawa, Hidehiko Ishigaki, Yasukazu Okada, Satoshi Miyazaki, Shigeyuki Koshikawa, Richard Cornette, Toru Miura
BMC Developmental Biology 2010, 10:45 (30 April 2010)

Total accesses to this article: 1708

特にミジンコの論文がたくさん読まれているようです。このような「専門的」な論文たちは、数十人くらいにしか読まれていないのかと思っていましたが、意外にも千人単位でした。BMCによれば、BMCのサイトの他に、Pub Medの運営するPub Med Centralというサイトからも論文を見ることができるので、実数はだいたい倍になっているはず、とのことです。

ちょっと前までは、ハガキで別刷り請求が来たりしたものですが、例えばハガキが2枚しかこないと、読者が2人しかいないのかと思ったものでした。雑誌は図書館に積まれるだけで、誰にも読まれていない可能性がありますので。ネットの利点を生かして、このようにリアルタイムで読者数が把握できるというのはすばらしいですね。
posted by シロハラクイナ at 07:19| シカゴ 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月31日

事業仕分けと来年度予算案

今月は一度も書いていなかったので、ひとこと。

例のパブリックコメント募集から事業仕分け第3弾にかけて、研究者コミュニティーは大騒ぎになり、しかも仕分の結果を受けた評価会議では、「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ 」がC判定、「「強い人材」育成のための大学の機能強化イニシアティブ 」がB判定(補正措置含む)とされ、予算大幅カットは確実と思われました。

しかし菅首相のリーダーシップ(?)により、突如、科学技術関連予算の増額が発表され(12/22)、科研費は約30%増額(2633億円)で予算案に組み込まれました。さらに「成長を牽引する若手研究人材の総合育成・支援イニシアティブ 」に含まれていた特別研究員PD事業も約30%の増額(60億円)、テニュアトラック普及・定着事業も新規扱いで81億円が計上されました。若手研究者にとっては満額回答と言ってよいでしょう。この一連の騒動のため、来年度から採用のPDは採用内定が保留されていましたが、予算案の閣議決定を受けて無事内定を受けた人たちが沢山いるようです。よかったよかった。

平成23年度予算案
http://www.mof.go.jp/seifuan23/yosan.htm

一方でもちろん問題点も多数あります。まずは、仕分け関係の制度が固まっていないために、先行きが不透明であることから皆が疑心暗鬼になり、その都度、署名だパブリックコメントだと、大騒ぎになること。では騒がなければいいかというと、本当に予算をばっさり切られるとシャレにならないので、ノーベル賞受賞者を担ぎだしたり、学会で提言を取りまとめたり、その時点では本気を出さざるを得ない訳です。

そして、パブリックコメントが突出して多かった文部科学省の事業が、評価会議で低い評価を受け、しかしそれは必ずしも予算案に反映されていない。原理原則がしっかりしておらず、切られる側はもとより、仕分け関係者も脱力していることと思います。若手研究者側から見ても、仕分けのワーキンググループで科学技術振興調整費が廃止となった時には愕然としましたが(従来、テニュアトラック事業はここに含まれていた)、結局、テニュアトラック事業は新規扱いで見事に復活したのでした。

大学の運営費交付金、私学助成などは微減、グローバルCOEは10%減ということで、厳しい部分もありますが、ほぼ覚悟していた通りといったところでしょうか。グローバルCOE拠点など、当事者の方達のご苦労はお察しいたします。しかし、そもそもグローバルCOEやグーロバル30などが、その予算規模に見合った成果が見込まれる事業だったか、つまり同額を科研費にしたほうが有効なのではと多くの研究者がつぶやいていたことを考えると、大筋としては正しい方向に向かっているのではないかと思います。

来年はもしかすると総選挙があるかもしれませんし、また署名だパブコメだと騒ぐことになるかもしれませんが、雨降って地固まる、となると良いですね。よいお年を。
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2010年11月24日

イーグルハイツでイーグル

私が住んでいる大学アパートはイーグルハイツ(ワシの高台)という名前なのですが、これまでワシを見かけたことはありませんでした。

今朝8:45ごろ、イーグルハイツのバス亭で、頭上を低く飛ぶ2羽のイーグルを目撃。白い頭に白い尾、間違いなくハクトウワシ(Bald eagle)でした。

Bald_eagle.jpg
画像はwikipediaより
posted by シロハラクイナ at 08:59| シカゴ ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月18日

事業仕分け第3弾後半

こちらは夜中ですが、GCOEなど、大学関係の予算の仕分けをネット中継で見ています。かなり切れますが、何度もリロードして見ている状態。肝心のGCOEの結論部分を聞き逃しましたが、一割以上縮減ということで合っていますか?再仕分けにかけられたにしては、良く踏みとどまったと言うべきでしょうか。

文部科学省の方々も、予算を切られまいとして奮闘していますが、「地域・社会の求める人材を養成する大学等連携事業」など、かなり厳しい事業があるのも確か。結局のところ、大学の構造的な問題を放置したまま、細かな課題に対してそれぞれ対処療法的な(そしておそらくあまり効果的でない)政策を続けてきたことが問われているのではないでしょうか。短い時間とはいえ、事業仕分けでもなければ、このような個々の事業に対して、国会議員や有識者、官僚が公開の場で議論するようなこともなかったと思いますので、それなりに意義はあったのではないでしょうか。良く聞こえなかった部分もあるので、あとでまとめの資料が出てきてから、もう一度中身を見てみたいと思います。

また、説明者の方々(政務官と官僚)にも、ぜひ名札をつけて頂きたかったです。「説明者」っていう名札は、あまり意味がないような気が。
posted by シロハラクイナ at 16:53| シカゴ ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

BlastStation

自分のハードディスクに保有しているシークエンスに対してBlastをかけるのに便利なソフトを発見し、最近はこれを使っています。WindowsにもMacにも対応しているようです。

BlastStation-Free
http://www.blaststation.com/freestuff/ja/products_bsfree.html

検索結果は視覚的に表現されるし、個別の配列も簡単に取得できます。これは便利。ただしユーザー登録が必要です。
posted by シロハラクイナ at 09:17| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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