生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2006年02月15日

From DNA to Diversity

From DNA to Diversity: Molecular Genetics and the Evolution of Animal Design (2nd Edition)
Sean B. Carroll, Jennifer K. Grenier, Scott D. Weatherbee
2005. Blackwell Publishing ISBN 1-4051-1950-0


研究室での輪読に使用している、進化発生生物学の教科書です。基本的なところから2003年くらいの最新の研究までをバランス良く紹介しています。

英語の本を読む場合、ななめ読みせざるを得ないことが非常に多いですが、輪読の場合はいちおう文章を追って読むことになります。そうすることで、今まで曖昧にしか理解していなかった分子発生生物学の基礎をしっかり頭にインストールできている気がします。

昨日の輪読では、ショウジョウバエの翅原基のパターン形成について激しい議論に…。どうも説明を簡単にするために省略している因子があるようで、こういう場合は原著論文か、別のレビューをあたるしかないようです。

なお第1版は日本語訳されており、12/24のエントリで既に紹介しました。英語版も日本語版も、どちらもおすすめです。特に進化発生生物学に近い分野を研究している方は是非。


posted by シロハラクイナ at 11:45| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

A Handbook of Biological Illustration

A Handbook of Biological Illustration
Frances W. Zweifel (著)
Univ of Chicago Press ISBN 0-226-99701-4


生物の研究をしていると、論文の図としてイラストを描くことがあります。分類の論文でない限りは描画のクオリティが求められるケースは少ないように感じますし、むしろ短時間で単純な図を仕上げる必要がある場合のほうが多いかも知れません。

私も数年前に論文のFigでイラストを描いたことがあったのですが、ケント紙にマッキーの極細で描くという荒技を使ってしまいました。今思うともう少しやりようがあったような気もします。どうせ後世に残す(ことを願って書く)論文なので、自他共に認める最高の図を載せたいものです。

この本は断虫亭日乗の丸山さんのwebサイトで紹介されていたので買ってみました。内容は基本的な道具の種類と使い方、描画法の例など。やや古いので、コンピューターを使った方法は登場しませんが、現在でもペン描きの基礎の重要性は変わらないと思います。
posted by シロハラクイナ at 17:10| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

Flow Cytometry Protocols

Flow Cytometry Protocols (Methods in Molecular Biology)
Teresa S. Hawley, Robert G. Hawley (eds)
Humana Press ISBN 1-58829-235-5


細胞の懸濁液を蛍光物質で標識し、様々な性質を測定できるフローサイトメトリーのプロトコール集。いまやフローサイトメトリーに関する文献は年間5000報ぐらい出るらしいです。

うーん、必要に迫られて買ったつもりなんですが、いまひとつ。一番知りたかった、「細胞に含まれるDNA量の測定」「組織の保存法」に関する記述が少なかったですね。基本的なことだと思うんだけどなぁ。リファレンスは大量に載っているので、それがせめてもの救いか。
posted by シロハラクイナ at 01:26| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

Termites: Evolution, Sociality, Symbioses, Ecology

Termites: Evolution, Sociality, Symbioses, Ecology
Takuya Abe, David Edward Bignell, Masahiko Higashi (eds.)
2000. Kluwer Academic Pub, ISBN 0-07923-6361-2


シロアリ業界モノで恐縮です。西暦1999年ごろまでのシロアリ研究の集大成といった感じの本です。シロアリ研究者は既に持っている方が多いと思います。著名な研究者の方々が一章ずつ分担して書いています。レビュー集といった趣です。

私としては、Nalepa&Bandiによる第3章の「Characterizing the ancestors」が最もおもしろいです。シロアリはゴキブリから派生したと考えられていますが、どのような進化が起こったのか? ゴキブリで元々高いと言われている発生の可塑性をさらに増加させてカースト分化を獲得し、さらに発生をヘテロクロニックに変化させて(paedomorphosis)、幼型的な形質を保持するようになったと説明されています。

なお、この本が出る際には、1969年刊行のシロアリ業界のバイブル「Biology of Termites」に取って代わるのではないかと(研究室で)言われていました。しかし、やはり「Biology of Termites」にしか載っていない情報も多いので、取って代わることはなく、必携の書が増えただけでした。

Biology of Termites (I, II)
K. Krishna, F.M. Weesner (eds.)
1969. Academic Press. ISBN 0-12-426301-1


こういう古い本はアマゾンで買えないことが多いですね。そういう場合には、私は古本検索サイトBookFinderを愛用しています。超マイナーな本でも見つかることが多いです。Biology of Termitesもここで買いました。↓

Search BookFinder.com
posted by シロハラクイナ at 00:47| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月23日

The evolution of the genome

The evolution of the genome
T. Ryan Gregory (ed.).
2005. Elsevier Academic Press, 740p.
ISBN 0-12-301463-8


最近ゲノムサイズ関係の論文を書きまくっている、グレゴリーの編著による本です。

C値のパラドックスなどの古典的なゲノムサイズの話から、最近のゲノムシークエンシングから得られた知見まで、一通り網羅されています。しかし、最近の流行というかゲノム研究の主流になりつつあるバイオインフォーマティック的な内容を期待すると、少し期待はずれかも知れません。どちらかといえば、ゲノムサイズ研究者、染色体研究者から見たゲノムの進化の話が多く書かれています。

図はそれほど多くなく、オール白黒なので、パラパラめくってもおもしろい感じではありません。おすすめ度は、まあまあといったところです。

posted by シロハラクイナ at 20:39| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月19日

The praying mantids

The praying mantids
Frederick R. Prete, Lawrence E. Hurd, Patrick H. Wells, Harrington Wells (eds.)
1999. Johns Hopkins Univ Press, 362p.
ISBN 0-8018-6174-8


カマキリ研究のバイブル的な本です。昔からカマキリ好きだったのですが、ちょっと自分の研究と関係してきたこともあり、ついに買ってしまいました。

生態や行動に関する章が多いですが、内容もそう古くはなく、実践的で使いやすそうです。巻末のほうに実験室での研究に向いている種、かろうじて使える種、やめたほうがいい種(累代飼育が困難)の表が付いているのがユニークですが、こういう情報はこれから研究を始める人には特に有用ですね。カマキリ研究者によるカマキリ研究者のための本ですね。
posted by シロハラクイナ at 14:43| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月16日

Principles of Insect Morphology

Principles of Insect Morphology
Snodgrass RE.
1993. Cornell University Press, 768p.
ISBN 0-8014-8125-2


またまた教科書的なものの紹介で恐縮ですが。どうしても、これはぜひ!という本から紹介したくなるので。

昆虫の形態学の教科書で、ハードカバー版は何と1935年の刊行です。時代背景からして当然ですが微細構造の記載はなく、ただただいろいろな昆虫の実体顕微鏡レベルの形態の解説のみ。ところが、これが使えるのです。というより、一度使ってしまうと手放せず、これなくして昆虫の形態の観察はできません。それほど「基本のき」となる本です。研究室では、「ひとり一冊」と言われている本です。

そんなわけで著者はこの名著を書いたことで有名らしいですが、なんと一生、一技官として過ごしたらしいのです。昆虫を観察し、イラストを描くことに最大の喜びを感じていたのでしょうね。偉人ですね。
posted by シロハラクイナ at 00:10| ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月11日

Insect Development and Evolution

Insect Development and Evolution
Heming BS.
2003, Cornell University Press, 560p
ISBN 0-8014-3933-7


最近よく使っている黒い本です。昆虫の発生と進化の教科書で、図版はすべて白黒でぱっと見は地味ですが、細かいことまでかなり丁寧に解説されています。分子発生生物学的なこともある程度おさえています。

第9章Postembryonic Development and Life Historyでは昆虫の後胚発生様式、特に変態の進化について書かれていますが、変な発生様式の昆虫が沢山出てきて自分的にはかなり面白いです。昆虫の変態は無変態、不完全変態、完全変態と3つに大別されていますが、現実はもっとずっと複雑です。完全変態でも甲虫と双翅類ではだいぶ違うし、不完全変態のアザミウマの”蛹”ステージとか、面白い題材はたくさん転がっていますね。
posted by シロハラクイナ at 11:42| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

Evolution of the Insects

Evolution of the Insects
Grimaldi D, Engel MS.
2005, Cambridge University Press, 772p
ISBN 0-521-82149-5


昆虫の系統と進化に関する教科書です。まぁ何と言うか、すごいの一言に尽きます。

沢山のきれいな図を眺めるだけでも楽しいですが、昆虫の各グループに対する詳しい解説と引用文献は大変に有用です。

試しに、僕の専門であるシロアリ類の項目を見てみると、かなり丁寧に解説されていて驚きました。また、グループの系統上の位置については客観的に解説しつつも、自分たちの意見も述べられているようです。たとえば、キゴキブリがシロアリに近縁であるとか、マントファスマがガロアムシに近縁であるなどの最新の知見も積極的に紹介されています。

この内容でこの価格は安いと思います。出版社の回し者ではないですが、昆虫研究者の方は是非。
posted by シロハラクイナ at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(洋書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。