生物学・科学に関する雑感。

現在ウィスコンシン・マディソンに研究留学中


2011年06月28日

解明される意識

解明される意識 [単行本] / ダニエル・C. デネット (著); Daniel C. Dennett (原著); 山口 泰司 (翻訳); 青土社 (刊)

かなり長い時間をかけて、やっと読了。たいへん面白かったです。

本書では、多くの人が漠然と信じている、人間の意識には中心のようなものがあって、多くの情報を取捨選択し統合してアウトプットしているという考え方を「カルテジアン劇場」と命名して批判し、そのか代わりとなる仮説として「多元的草稿」モデルというものを提示しています。たぶん研究者にとってはおなじみの、書きかけの色んなバージョンの原稿がごちゃごちゃになっている状態、これが人間の意識の状態である、と。

モデルを説明するにあたり、コンピューター、人工知能の研究成果をふんだんに取り入れ、あくまでも現代の科学と乖離しない形をとり(自然主義)、また哲学のジャーゴン(業界用語)をできるだけ排しているので、かなり可読性が高いものとなっています。多くの哲学書に比べれば、ですが。

これを読むと、やはり現代科学の最大の課題は、人間の意識、人間の思考のメカニズムを明らかにすることなのかなと思います。しかし人間の脳はなにしろ複雑すぎて、すぐに取り組むにはまだ科学的手法が十分に確立されているとはいえず、どういう個別研究をするかという大方針を立てるには哲学の力を借りないといけないのかもしれません。一方で、単純なシステムをまず完全に理解する必要があるという意味では、線虫の神経系の研究なんかも非常に重要であるという思いも強く持ちました。
posted by シロハラクイナ at 14:52| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/212254273
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。