進化生物学と去りゆく生きものたち
スティーヴン・ジェイ グールド (著), 広野 喜幸, 松本 文雄, 石橋 百枝 (翻訳)
早川書房 ; ISBN: 415207969X, 4152079703

グールドのエッセイシリーズの第6作。いままで読んだ中では、シリーズ中で最もお薦めです。
第4章「テクノロジーにおけるパンダの親指」ではタイプライターの文字の配列(現在我々が使っているパソコンのキーボードも未だに同じ!)の起源と、不合理なQWERTY式配列がなぜ生き残ったのかを論じていますが、これは「歴史という複雑な小道をたどってきた多くの生物や生態系には最適なデザインなどありえない」ということの例えでもあります。生物における例はシリーズ第2作「パンダの親指」で詳しく述べられています。
また、この本のメインである第5章「がんばれブロントサウルス」では学名の命名法の正しい適用によって、愛すべき恐竜「ブロントサウルス(かみなりのトカゲという意味)」が「アパトサウルス(サギ師トカゲ)」に変えられてしまった経緯と、命名規約における名称の安定性、先取権、強権発動などについて述べています。
他にも、異常に大きいキーウィの卵サイズとアロメトリーの進化について論じた第7章「キーウィの卵と自由の鐘」、生物の隠蔽色の理論を提唱した画家アボット・セアの功績と失敗について書いた第14章「夕日に赤い翼」など、すばらしいエッセイのオンパレード。(どうしたらこんなに面白い話が書けるんだろうか。)
個人的には、大学院のころの研究室の先輩方が本書の翻訳に関わっておられるのも感慨深いです。
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グールドの調べの細かさは凄いと勝手に思っていたのですが、だいぶアラがあるようですね…。この場合は、そもそも対決者の名前が逆転してしまっているということでしょうか。断片的な情報から適当にストーリーを作った結果、こうなったのでしょうか。
皆様、正確なQWERTY配列の歴史については、安岡先生のページをご覧ください m(_ _)m
しかし、コンピューターのキーボードが未だにQWERTY配列ってのはどうなんですかね?(他のタイプの配列があっても、もう自分はそちらに移れないですけれど、)非合理的な配列は何か大きなきっかけがあれば合理的なものに取って代わるのではないでしょうか。キーボード自体がずっと存続するのかも、興味深い問題です。少なくとも、タッチペンに取って代わられることはないでしょうけれど。。