生物学・科学に関する雑感。

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2010年04月05日

Little effect of the tan locus on pigmentation in female hybrids between Drosophila santomea and D. melanogaster.

Little effect of the tan locus on pigmentation in female hybrids between Drosophila santomea and D. melanogaster."
Matute DR, Butler IA, Coyne JA.
Cell. 2009 Dec 11;139(6):1180-8.

さて、Jeong et al. 2008に対して出てきた反論がこの論文です。CellにはMatters Arisingという反論用のセクションがあり、そこに掲載されたものです。以下、私はCarroll研側の人間ですので、この論文に対しては否定的な見方をしていますが、そのあたりを考慮しつつお読みください。興味のある方は、ぜひ原文に当たってみてください。

この論文では、D. melanogasterとD. santomeaが交配可能であることを利用して、melanogasterの染色体欠失系統とsantomeaの交配により、santomeaのtanが機能を失っている事が、本当にsantomeaの腹部着色が薄いことの原因であるかどうかを検討しています。

そして彼らは結論として、tanはほとんど形質の違いに寄与していない、と主張しています。その根拠となっているのは、santomeaとmelanogaster野生型(バランサー)の雑種メスと、santomeaとtan周辺領域を欠失しているmelanogasterの雑種メスとで、着色にほとんど違いが見られない、つまり、melanogasterのtanは、santomeaの薄い体色をもたらしている原因遺伝子座を相補しないように見える、ということです。

さて、Jeong et al.と大いに矛盾する結果に見えますが、これをどう解釈するのが正しいのでしょうか?著者らは、Jeong et al.は遺伝子導入で形質がレスキューされているとしているが、それは酵素を過剰発現しているから色素ができたに過ぎず、厳密には原因遺伝子座をレスキューしているとは言えない、と主張しています。この主張は本当に妥当なものでしょうか?
posted by シロハラクイナ at 09:17| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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