生物学・科学に関する雑感。

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2009年10月08日

Caterpillars evolved from onychophorans by hybridogenesis

Caterpillars evolved from onychophorans by hybridogenesis
Williamson DI.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Aug 28. [Epub ahead of print]

タイトルを見ただけで絶句してしまいました。チョウの幼虫は、昆虫の成虫とは起源が別で、カギムシなどの別の動物との交雑によって取り込まれた形質だ、という仮説。もう仮説と呼ぶのが不適切なぐらいの超珍説です。エイプリルフール特集かと思ったけどそうではないし、まじめに書いたのだとすればかなりエキセントリックな著者なのでしょう。

内容もずさんで、笑いつつも悲しくなってくるほどの代物です。どうやってPNASに載ったかというと、いわゆる"Communicated by ~"という枠で、要はアカデミーの会員のコネで通したとのこと(なお、この枠は、もうすぐ無くなる予定。)そしてそのアカデミー会員は、…やっぱりあの方でした。エキセントリックな方たち同士、仲が良いようです。

この論文をどのように読めば良いかは、以下の記事によくまとめられていると思います。PNASに掲載されるまでに、7つのジャーナルにリジェクトされたとか。
“Bigwig” ushered “nonsense” paper into top journal, say scientists
posted by シロハラクイナ at 08:40| シカゴ 晴れ| Comment(4) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日,Dresden Meeting on Insect Phylogeny で,Kristensen がこの論文のタイトルページを写し出したとき,会場は大ウケでした.僕は帰って来てから眺めてみたのですが,ま,シロハラさんのおっしゃる通りの無いようですね(イカした誤変換が出たのでそのままにしておこう).
Posted by 茶坊主 at 2009年10月08日 11:52
なるほど、専門家の皆さんが笑ってくれるほどの度量があるようでホッとしました。なかにはぶち切れている人もいるのではないかと思ったので。

雑誌の権威付けなど何ほどのものでもないし、Natureにも怪しい論文はたくさん載るし、目くじらを立てるほどのことでもないのかもしれません。

しかしこういうものが出てくると、ほかにも査読の意味とか、自ら身を引くべき時期とか、様々な問題を考えさせられます。歴史に刻まれる迷論文になりそうですね。
Posted by シロハラクイナ at 2009年10月08日 12:35
確かにNatureにも怪しい論文は載りますが、PNASのあの枠はそれを助長しているように思います。載るにしてもそのプロセスが問題だということです。ま、そう思う人が多いから無くなるんでしょうね。無くなる件は知りませんでしたが、良いことだと思います。
Posted by 橘 at 2009年10月08日 16:00
そうですね。どんなに怪しい仮説でも、学会誌や同好会誌的なジャーナルまで含めればどこかには拾ってもらえるでしょうから、「大胆な仮説をお蔵入りさせないため」という大義名分は立ちにくいですしね。あるいは、ごく一部の人たちがPNASを同好会誌的に使っているとしたら、他のまともな著者たちに失礼です。

私が直接に、あるいは間接的に聞いた話では、アカデミーの会員の人たちは自分や身内にも科学的な意味で厳しいので、"Communicated by~"だったとしても、多くの場合、高い質が保たれているように思います。彼らにとっては、この枠が無くなったところで堂々と"Edited by~"で通せばいいわけですから問題ないでしょう。

ジャーナルの役割はすでに、印刷して配る、というものから「論文の格付け機関」にシフトしていると思うので、その格付けの妥当性に疑問符が付くような制度はやめたほうがいいですね。

と、かたいことを言いつつも、けっこう楽しんでいる私です。
Posted by シロハラクイナ at 2009年10月09日 01:20
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