生物学・科学に関する雑感。

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2009年03月23日

Distinct developmental mechanisms underlie the evolutionary diversification of Drosophila sex combs.

キイロショウジョウバエとその近縁グループにおいて、オスの特徴であるsex combの形態の特徴と、その形成メカニズムが、複数回独立に進化しているのでは?という可能性を示した論文。

Distinct developmental mechanisms underlie the evolutionary diversification of Drosophila sex combs.
Tanaka K, Barmina O, Kopp A.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 2. [Epub ahead of print]

sex comb (性櫛) は、キイロショウジョウバエに近いグループのオスのみにみられる特徴で、前脚のフ節にくっついているように見える、黒い櫛状の器官です。種間でバリエーションがあり、縦長のもの(longitudinal)と横向きにちょこっとついているもの(transverse)があります。その発生過程を見てみると、縦長のもののなかに、いきなり縦長に配列した前駆体として形成されるタイプ(Pre-specified)と、横向きに作られた前駆細胞群が、表皮もろとも90℃回転して縦長に配列するタイプ(Rotating)がみとめられました。

さらにこれらは、系統樹上にのせてみると、ばらばらに分布していて、ベイズ法によって (oriental + montiumの) 祖先の形質を推定すると、transverse 45%、rotating 15%、pre-specified 40%と、どの可能性もありえるような結果です。つまりいずれのシナリオが正しいとしても、これらの発生形式の間でのスイッチが複数回独立に起きているであろうという結論です。

ただ、rotatingとtransverseの中間というか、ほどほどの長さのsex combが斜めについている種もいるようなので (bipectinataとかsuzukiiとか)、これらは連続的に捉えることが可能で、pre-specifiedのみが、とても長いsex combを作る場合に起きた特殊化なのかなと思いました。そう考えると、ficusphilaとmontium両グループでこの特殊化が起きて、のこりは長くなったり短くなったり、長いと脚の横幅に収まらなくなるのでちょっと斜め方向に回転したり、というイメージです。
posted by シロハラクイナ at 02:00| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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