生物学・科学に関する雑感。

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2009年02月24日

Vector and parameters for targeted transgenic RNA interference in Drosophila melanogaster.

キイロショウジョウバエ用の、RNAiベクターの開発と条件検討。この新しいベクターのポイントは、integraseに対応していること、可視マーカーとしてwhiteの代わりにvermilionを使っていること、ヘアピンの間にイントロンを挟んでいること、などです。

Vector and parameters for targeted transgenic RNA interference in Drosophila melanogaster.
Ni JQ, Markstein M, Binari R, Pfeiffer B, Liu LP, Villalta C, Booker M, Perkins L, Perrimon N.
Nat Methods. 2008 Jan;5(1):49-51.

昨日の論文とは別のグループによる、RNAiベクターの論文。p-elementによる導入だと、導入された場所による効果が出てしまって、効果が思ったより強かったり弱かったり、他の系統との統一的な比較が困難になったりするので、integrase系を用いてあらかじめ指定したドッキングサイトに入れられる方が好ましい、ということのようです。

whiteの代わりにvermilionを使っているのは、whiteの発現量(または遺伝子の存在量)は行動に大きな影響を与えてしまうので行動解析に向かない、という欠点を解消するためだそうです。表現型が微妙だから、スクリーニングはしづらいけど…。

私にとって(たぶん)重要なのは、ヘアピンの間にイントロンがあること。昨日の論文では、cDNAの配列を直接に逆向きに接続していて、間には制限部位(6bpのEcoRIサイト)しかありませんでした。ウワサですが、これだとクローニングの際に、組み替えでこの部位を消失しやすいのか、とにかくクローニングが難しくなるのだそうです。なぜイントロンを間に入れることで、それが解消するのかわかりませんが…(ここの根拠については調べている最中)。また、イントロンがあることで、RNAが細胞質に移行しやすくなり、効率が上がるのだとか(ここの根拠も調べています)。

あとは、まめちしきとしては、Dicer-2の過剰発現よりも、単に(エンハンサー+GAL4)のコピー数を増やした方が、効率があがるということ。それから、UASの個数を調節しても、大して効率は変わらないということ。これは、系のうちのどこの部分が律速段階になっているかにもよるんでしょうけどね。

とにかく今このベクターは手元にあるので(誰かが使おうと思って取り寄せてあったが、そのまま…というパターン)、そして昨日の論文のベクターは取り寄せに少し日数がかかりそうなので、とりあえずこちらで挑戦してみようかな。私の材料はmelanogasterではないので、いずれにしろベクターをだいぶ改造しなければいけませんが。
posted by シロハラクイナ at 13:20| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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