生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2013年01月21日

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.
Dyer KA, Burke C, Jaenike J.
Mol Ecol. 2011 Jul;20(13):2805-17. doi: 10.1111/j.1365-294X.2011.05128.x. Epub 2011 May 20.

自分の研究しているショウジョウバエのグループで見つかった興味深い状況。Drosophila quinariaのミトコンドリアDNAには二つのタイプがあり、そのうちの一つは、すでに絶滅したらしい近縁種に由来し、Wolbachia(片利共生細菌)とともにquinariaの集団に入り込んできたものらしい。絶滅した種のDNAが多種から見つかるというのは、ちょっとロマンチックです。
posted by シロハラクイナ at 05:18| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月04日

解明される宗教

解明される宗教 進化論的アプローチ [単行本] / ダニエル・C・デネット (著); 阿部文彦 (翻訳); 青土社 (刊)

宗教とは何か、どうして人は宗教を生み出し、信じ続けるのか、というとても扱いにくいテーマに正面から取り組んでいる、野心的な作品です。宗教を、人の媒介して複製され伝播する情報「ミーム」としてとらえ、競争の中で生き残る特性は何か、どのような状況下で人の考えを縛り操ることができるのか、また我々は宗教が強い影響力を持っている世界でどのように振る舞うべきか、かなり踏み込んだ議論が続きます。ただし、「はじめに」で著者自身が述べているように、特にアメリカの状況が念頭に置かれているために、主にキリスト教と、ユダヤ教、イスラム教についての言及が多いように思います。

自分がどのような信仰を持っているかによって、本書の捉え方はまったく異なると思います。私のように無宗教で自然科学の研究をしている者には、特に抵抗感はありませんが、文脈によっってはやや攻撃的すぎると感じる部分もあります。アメリカで生活していると、教会関係者や信者の人たちは、いわゆる「いい人」が多く、ボランティア活動などを通じて、地域コミュニティーに好ましい影響を与えているのを実感します。そのような明るい面もあるために、教義に矛盾があるとか、科学と両立しないからといって、簡単に無くせるものではありません。

(なお、これほどの作品を翻訳するのはとても大変であったろうとは思いますが、ところどころ誤訳が目につきます。読んでみてはっきりしない点は原著で確認されることをお勧めします。)
posted by シロハラクイナ at 16:28| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする