生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2012年06月29日

Impact Factor 2011

Impact Factor 2011が出たようですね。

今年の目玉は何と言ってもNature Communicationsではないでしょうか。一説にはPLoSに対抗するために出したなどと言われますが、1年目の被引用データはどう出たでしょうか。

Nat Commun 7.396

ほぼ予想どおりではないでしょうか?Nature Communicationsのサイトによれば、「Nature Communications には、科学の領域における質の高い論文が掲載されますが、必ずしも Nature や Nature 姉妹誌に掲載される論文ほど広範囲にわたる科学的影響力をもつ必要はありません。」ということ、さらに姉妹紙(IF10-30くらい)に掲載されなかった原稿も回ると言うことで、しかしNatureのブランドもあるし、このくらいでしょう。

さらに、今年のデータは、1年分のデータ(2009年に出版された論文が2010年に引用された回数)に基づいているので、来年はもう少し上がると予想します。私の予想は9.2と書いておきます。

Nature Publishing Groupの担当者は、IF10-20くらいを目指して創刊していると言っているので、この発言は少し「盛って」いるとして、だいたい彼らとしても思惑どおりなのではないでしょうか。このリンク先には、オープンアクセスと学術出版の未来についての出版社の方たちの議論がまとめられており、大変おもしろいです。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20120229/1330530968

あとは、目立ったところでは、Scienceの数少ない姉妹紙であるScience Signelingですが、去年もでていたんですかね?気がつきませんでしたが、数値が出て二年目のようです。

Sci Signal 7.499 増

<以下、具体的な数字は削除しました。>
posted by シロハラクイナ at 04:00| シカゴ ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月28日

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.
J. Alberto Quartau (1985)
Boletim da Sociedade Portuguesa de Entomologia, suplemento No1
Actas do II Congresso Ibérico de Entomologia vol II. 359-371.

ポルトガルの昆虫学者Quartauによる昆虫の翅の起源に関するレビューで、内容としてはQuartau (1986)と重複する部分が多いのですが、こちらのほうが簡潔です。この原稿はサバティカル中に行われた研究を、学会発表用にまとめたもののようです。Paranotal theoryの側に立ち、おおむね常識的でしっかりとしたレビューです。
posted by シロハラクイナ at 13:11| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月03日

生態進化発生学

生態進化発生学―エコ‐エボ‐デボの夜明け [大型本] / スコット・F. ギルバート, デイビッド イーペル (著); Scott F. Gilbert, David Epel (原著); 正木 進三, 竹田 真木生, 田中 誠二 (翻訳); 東海大学出版会 (刊)

原書はEcological Developmental Biologyで、まさか翻訳されるとは思っていませんでした。うれしい誤算です。

近年、エコデボとして注目されている、生態学と発生生物学の融合分野ですが、実際にどのような研究プログラムが進行しているのか(これは、必ずしも研究者がエコデボをやっているという自覚が無い場合も含め)、概観するのに極めて優れた教科書です。原書が第1版ということもあって、少し生煮えな部分、訂正が必要な部分もあるようですが、とにかくエキサイティング。エコデボに限らず、生物学の未来や今後なされるべき統合に興味のある方も必読だと思います。

ヨーロッパからアメリカに移った研究者のカメムシが変態しなくなった"paper factor"の話、双子の加齢による差異の拡大とメチル化の話、イタリアのソラマメ中毒とマラリアの話など、読み物としても優れ、また研究の実例としても重要なエピソードも多く取り上げられています。
posted by シロハラクイナ at 15:23| シカゴ ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月01日

進歩への希望 科学の擁護

進歩への希望―科学の擁護 (1978年) [−] / P.B.メダワー (著); 千原 呉郎,...

引き続き、メダワーの著作を読んでいます。これはいくつかの講演、書評などを寄せ集めたものです。話題は、科学と文学、精神分析について、人類の遺伝的改良、医学研究所における動物実験、など。また、ワトソンの「二重らせん」に対する書評もすばらしいです。
posted by シロハラクイナ at 15:08| シカゴ ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする