生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2012年01月28日

はじめに線虫ありき―そして、ゲノム研究が始まった

はじめに線虫ありき―そして、ゲノム研究が始まった [単行本] / アンドリュー ブラウン (著); Andrew Brown (原著); 長野 敬, 野村 尚子 (翻訳); 青土社 (刊)

C. elegansの研究の初期から、その人材がヒトゲノム計画に関わって行くまでの出来事を追った読み物。たいへん勉強になりました。やはり大きな志を持って研究をしないといけないなと思う反面、線虫の研究のように全く新しい分野が興るというのは現代ではあり得るのかと考えてしまいます。これから先、何か巨大な潮流が待っているとしたら、やはりゲノム科学の先にあるのでしょうか。
posted by シロハラクイナ at 14:19| シカゴ 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月23日

宮崎哲弥 仏教教理問答

宮崎哲弥 仏教教理問答 [単行本(ソフトカバー)] / 宮崎哲弥 (著); サンガ (刊)

評論家/コメンテーターとして著名な宮崎哲弥氏ですが、彼がいろいろな所で言っているのは、彼の本当の関心事は政治経済問題などではなく、宗教やサブカルチャーであるということです。中でも「専門」は仏教であり、そんな彼の初めての仏教書がついに出ました。

若手の僧侶5人との連続対談ですが、やはり宮崎氏の立ち位置はインド仏教哲学の中観派で変わりなく、大乗仏教の論客たちとの対話も、それなりの一致点は見いだしつつも、やはり納得しきっていない様子が随所に見られます。確かに、極楽浄土が実在する、などと言われるとちょっと私も引いてしまいます。氏の関心事は、数多くある宗派の教義のどこに矛盾があるか、そして、どんどん付け加わって来た新しい教義、解釈の、どれをどうはぎ取って、本当に取り上げるべき考え方(哲学)は何かを示すことにあるように感じます。今後の著作にも多いに期待します。
posted by シロハラクイナ at 01:40| シカゴ 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 書籍(文芸・人文社会) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

偶然と必然

偶然と必然―現代生物学の思想的な問いかけ [単行本] / ジャック・モノー (著); 渡辺 格, 村上 光彦 (翻訳); みすず書房 (刊)

本年もよろしくお願い致します。

さて、これはラクトースオペロンで有名なモノーのエッセイですが、生物と人工物の違いから説き始め、自分の研究分野を人類の思想史の中に位置づけていく、非常に壮大かつストイックなものです。その思考の鋭さに、少々息苦しさすら覚えます。

私の現在のボスはエボデボの研究者なのに、好きな論文にラストースオペロンの論文を挙げるほどで、それまで私は退屈な教科書的な研究と思っていたので、大きく考えを改めさせられたものです。確かに彼らの研究は洗練されていて美しく、その結果の投げかけたものは大きいのですが、その背景には、当時の生物学が示すべき科学的事実は何か、という確固とした思想的背景があったことに驚かされます。

古い本ですが、非常に切り口はユニークだし、研究のありかたについての示唆に富んでいて、特に若い研究者にぜひ読んでもらいたいです。
posted by シロハラクイナ at 02:24| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする