生物学・科学に関する雑感。

書籍の紹介が中心です


2017年08月15日

近況 しばらくは消さずにおきます

ここ数年間、更新することなく来てしまいました。

その間、いろいろなことがあり、相互リンクしていただいていたG-hopさんが作家になったり、JKJは教授になったり、自分も旅立ちが近くなったりしています。

数年ぶりに見ると、我ながらとても恥ずかしいことを書いていたりもしますが、すべて消すのも少しもったいない気もして、自分が特定されやすい記事をいくつか非公開にして、あとはしばらくこのまま置いておこうかと思います。私が誰か知っている方もいらっしゃると思いますが、知らないふりをしてください。

いつか、ここか、別の場所かわかりませんが、本の紹介を再開したいという気持ちはあります。
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2013年07月11日

現代思想 2012年11月臨時増刊号 総特集 チューリング

現代思想2012年11月臨時増刊号 総特集=チューリング [ムック] / アラン・チューリング, 円城 塔, 信原幸弘, 郡司ペギオ幸夫, 照井一成, ドミニク・チェン, 安西祐一郎, 柄沢祐輔, 池上高志, 鈴木誉保, 三浦岳, 新井紀子, 西垣 通, 佐藤文隆, 西川アサキ (著); 高橋昌一郎, 田中一之 (翻訳); 青土社 (刊)

こちらもいまさらですが、現代思想のチューリング特集号。鈴木さんによるモルフォゲンに関する論考もあり。勉強になります。
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2013年06月20日

Impact Factor 2012 (インパクトファクター 2012)

Impact Factor 2012が出ましたね。もう速報性ではTwitterにかなわないですが、毎年恒例なので書いておきましょう。

今年の目玉は、

Scientific Reports 2.927

今年は1年目なので、来年はもう少し上がるでしょう。4.0くらいと予想しておきます。なんだか天気予報みたいになってきた。

昨年、今年のNat Communを9.2と予想しましたが、正解は10.015でした。 

<以下、具体的な数字は削除しました。>
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2013年06月19日

現代思想 2012年8月号

現代思想2012年8月号 特集=生きものの<かたち> 構造・行動・色・模様 [ムック] / 養老孟司, 池田清彦, 中村桂子, 長沼毅 (著); 青土社 (刊)

このあいだ日本に行った時に書店で見かけて、いまさらながら読んでみましたが、当たりでした。沢山の著者の方たちがいて、テーマは哲学と生物学の境界であったり、あるいはまったくどちらでもなかったりするのですが、普段考えている生物学の外側が少し見えて、また、外から見た生物学はどんなものなのかも少し見えて、なかなか得難い読書体験でした。
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2013年05月26日

Genome engineering of Drosophila with the CRISPR RNA-guided Cas9 nuclease.

Genome engineering of Drosophila with the CRISPR RNA-guided Cas9 nuclease.
Scott J. Gratz, Alexander M. Cummings, Jennifer N. Nguyen, Danielle C. Hamm, Laura K. Donohue, Melissa M. Harrison, Jill Wildonger and Kate M. O'Connor-Giles
Genetics Early Online May 24, 2013, doi: 10.1534/genetics.113.152710

そろそろ世界のどこかから出るだろうと思っていた、CRISPRのハエへの応用、まさかまさか、うちの隣のラボからでました。インジェクションのやり方を教えたのはうちのテクニシャンだし…。いつのまにやっていたのかという感じ。こういう仕事はやると決めたらスピードが大事ですね。

CRISPRというのはバクテリアから見つかっている獲得免疫の機構らしく、ウィルスのゲノムの一部を自分のゲノムに取り込んで、次に侵入があったときに、それを鋳型にウィルスゲノムを切断することで防御するもののようです。このシステムを応用して、ゲノムの特定の場所を切断、場合によってはそれを相同な配列と組み替えさせることでゲノム改変ができる、というアイディアで、すでに哺乳類の培養細胞や酵母では成功例があったので、ハエで使われるのも時間の問題でした。

この方法のメリットは、とにかく簡単で速いということだと思います。ターゲットの制約は、GGを含む配列であるということくらいです(ただし、まだyellowとrosyでしかテストされていないので、すべての遺伝子やその近傍で同じように働く保証はない)。とにかくゲノム改変のためには何らかの方法で特異性を持たせなければなりません。TALENやZFNは、DNA配列を認識するタンパク質の配列をデザインする必要があるのに対し、CRISPRで使われるRNAの配列というのは最も直接的で単純なので、外注する必要もないし時間もかからないので、普及のスピードは速いと予想します。

5/29 キーワードを追記します。CRISPR, CRISPE/Cas9, ショウジョウバエ, Drosophila, Zinc finger nuclease
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2013年05月20日

意識の探求 神経科学からのアプローチ

意識の探求―神経科学からのアプローチ (上) [単行本] / クリストフ・コッホ (著); 土谷 尚嗣, 金井 良太 (翻訳); 岩波書店 (刊)

意識とは何か、というのは脳科学の最も難しくかつ重要な問題のひとつと言われているそうです。著者のコッホは、クリック(*注1)とともに、意識の神経科学的基盤の解明に取り組んできた研究者です。

彼らは、NCC (Neural Correlates of Consciousness) 、つまり意識を生み出すのに充分な神経活動の単位を探ることを目標に、特に視覚意識(何が見えているか)に注目してきたそうです。NCCがあると仮定するということは、脳のどこかに意識の中心になる領域なり回路があるということで、これはデネット(*注2)が批判するカルテジアン劇場のようなものです。コッホはNCCを仮定した上で、今はその実体を科学的なアプローチで探索できるエキサイティングな時代であり、そうすべきというスタンスです。例えば視覚意識に関して言えば、後頭部にある皮質のV1(一次視覚野)は視覚のNCCに含まれないのはほぼ確かで、つまり大脳皮質の全体ではなく一部(おそらく下側頭葉の中やその周りのニューロンを含む)が意識形成の中心になっているはず、と述べています。

意識の問題のように長く議論されてきた課題を解決するためには、とにかく検証可能な仮説を立てて、それを科学的に検証するというスタイルが、唯一の現実的な手法であると私も信じますし、そういう意味では自然科学は最も実践的な哲学なのだと思います。

*注1 Francis Crick、The Astonishing Hypothesis(邦訳:DNAに魂はあるか)の著者で、もちろんDNAの二重らせん構造の提唱でも有名。

*注2 Daniel C. Dennett、Consciousness Explained (邦訳: 解明される意識 )など、とても字数の多い本で有名な人気哲学者です。
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2013年01月21日

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.
Dyer KA, Burke C, Jaenike J.
Mol Ecol. 2011 Jul;20(13):2805-17. doi: 10.1111/j.1365-294X.2011.05128.x. Epub 2011 May 20.

自分の研究しているショウジョウバエのグループで見つかった興味深い状況。Drosophila quinariaのミトコンドリアDNAには二つのタイプがあり、そのうちの一つは、すでに絶滅したらしい近縁種に由来し、Wolbachia(片利共生細菌)とともにquinariaの集団に入り込んできたものらしい。絶滅した種のDNAが多種から見つかるというのは、ちょっとロマンチックです。
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2013年01月04日

解明される宗教

解明される宗教 進化論的アプローチ [単行本] / ダニエル・C・デネット (著); 阿部文彦 (翻訳); 青土社 (刊)

宗教とは何か、どうして人は宗教を生み出し、信じ続けるのか、というとても扱いにくいテーマに正面から取り組んでいる、野心的な作品です。宗教を、人の媒介して複製され伝播する情報「ミーム」としてとらえ、競争の中で生き残る特性は何か、どのような状況下で人の考えを縛り操ることができるのか、また我々は宗教が強い影響力を持っている世界でどのように振る舞うべきか、かなり踏み込んだ議論が続きます。ただし、「はじめに」で著者自身が述べているように、特にアメリカの状況が念頭に置かれているために、主にキリスト教と、ユダヤ教、イスラム教についての言及が多いように思います。

自分がどのような信仰を持っているかによって、本書の捉え方はまったく異なると思います。私のように無宗教で自然科学の研究をしている者には、特に抵抗感はありませんが、文脈によっってはやや攻撃的すぎると感じる部分もあります。アメリカで生活していると、教会関係者や信者の人たちは、いわゆる「いい人」が多く、ボランティア活動などを通じて、地域コミュニティーに好ましい影響を与えているのを実感します。そのような明るい面もあるために、教義に矛盾があるとか、科学と両立しないからといって、簡単に無くせるものではありません。

(なお、これほどの作品を翻訳するのはとても大変であったろうとは思いますが、ところどころ誤訳が目につきます。読んでみてはっきりしない点は原著で確認されることをお勧めします。)
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2012年11月09日

食う寝る坐る永平寺修行記

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫) [文庫] / 野々村 馨 (著); 新潮社 (刊)

日本から遠く離れて暮らしていると、日本っぽいものが読みたくなります。アメリカ社会には良い点、学ぶべき点も多くありますが、その消費文化、食文化に関しては、疑問に思うこともしばしばです。ハンバーガーにかぶりつく、車いすのおばあちゃんを見た日には、なおさらです。

アメリカの医療費はOECD諸国の中でも突出して高く、そのわりに平均寿命は低いです。また、明らかに肥満の人が多く、食べるものも含め、多くの人の生活スタイルに問題があるのは明らかです。食べ物の特徴は、肉が多く、糖分が多く(料理は甘め)、ひとりぶんの分量も非常に多いです。

これと対極にあるのが、永平寺の生活でしょう。食事はかなり貧しいようで、お粥やご飯、みそ汁を中心に副菜が少し、特に副菜の乏しさから脚気になる雲水(修行中の僧侶)が多いそうなので手放しにほめることはできないですが(この栄養バランスの悪さは著者が修行した当時のことなので現在は改善されているかも)、アメリカの食べ物に倦んだ私には魅力的に思えました。

ところで、結果がなかなか出ない時の研究は、修行に似ています。毎日、同じことの繰り返し。めぼしいことはなし。それでも、その行為自体に意味があるのでは、と思ってます。スランプも末期症状か。この先に何かあると信じています。
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2012年08月27日

A comparative analysis of the evolution of imperfect mimicry.

A comparative analysis of the evolution of imperfect mimicry.
Penney HD, Hassall C, Skevington JH, Abbott KR, Sherratt TN.
Nature. 2012 Mar 21;483(7390):461-4. doi: 10.1038/nature10961.

擬態に関する話。ハナアブは毒針を持たないのに、ハチに擬態することで鳥による捕食から逃れていると言われています。しかし、一部の種はハチに良く似ているのに、ちょっとしか似ていない種もいます。似ている方が捕食されにくいのなら、なぜちょっとしか似ていない種がいるのでしょうか。

これに関する仮説はいくつもあって、複数のモデルの中間に似せているからだとか、ヒトが見て似ていなくても鳥から見たら似ているだとか言われてきました。しかしこれらの仮説は、この論文の形態計測/ヒトによる類似性の評価/ハトによる類似性の評価のデータによって明確に否定されています。また、「血縁淘汰によって似すぎた擬態は不利になる」という説も、その仮説から予想されるはずの、個体数の多さと擬態の完成度の(負の)相関が見られなかったことにより、退けられています。

結局、ハナアブの種ごとの体サイズと擬態の完成度に正の相関が見られたことにより(系統関係を考慮した補正をしてもしなくても相関あり)、小さい種では捕食圧が低いために擬態のメリットが低いことが、擬態の不完全さの原因ではないかと結論しています。

もともと他の仮説は根拠が弱かったと思うので、この結論は妥当だと思います。しかし小さい種で擬態のメリットが低くても、よりモデルに似ていた方が捕食圧はさらに下がるわけですから、そうなっていないということは逆方向の淘汰圧…つまり擬態することに何かデメリットがあるはずです。それが、例えば、色素をつくるためのコストなのか、配偶相手の認識に支障がでるのか、その拘束の正体に興味があります。
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2012年07月25日

進化学事典

進化学事典 [単行本] / 日本進化学会 (編集); 共立出版 (刊)

ついに出た進化生物学のバイブル。頂き物です。分類群や概念を項目として、それぞれ2ページくらいずつ、事典としては長めの解説が書かれています。巨大な総説集ともいえる作りです。このようなスタイルだと、項目ごとの著者の個性も出て、読み物としてもなかなかです。
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2012年07月24日

Diversification of complex butterfly wing patterns by repeated regulatory evolution of a Wnt ligand.

Diversification of complex butterfly wing patterns by repeated regulatory evolution of a Wnt ligand.
Martin A, Papa R, Nadeau NJ, Hill RI, Counterman BA, Halder G, Jiggins CD, Kronforst MR, Long AD, McMillan WO, Reed RD.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jul 16. [Epub ahead of print]

ミューラー型擬態で有名なドクチョウの翅の黒い部分は、どうやらWntAによって規定されていることを示した論文。同種の異なったモルフを利用したマッピングでWntA領域に絞り込み、in situで翅原基でのWntAの発現パターンが成虫の着色と一致することを確かめた上で、Wnt系リガンドの拡散を促進する薬剤であるヘパリンの投与によって、模様の黒い部分が拡大することを示しています。現在の技術を使う限りでは実験は完璧だと思います。
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2012年07月16日

新リア王

新リア王 上 [単行本] / 高村 薫 (著); 新潮社 (刊)

「太陽を曳く馬」の前作にあたる長編小説。禅僧の息子と代議士の父の対話を通じて、1960-1980年代の青森の政治史を舞台に、大物政治家の最期までを描いた大作です。主な登場人物は創作ですが、自民党の大物政治家は実名で出てきます。六ヶ所村の核燃料サイクル関連施設が作られた経緯や、地方分権のありかたなど、今日につながる問題が、実は長く複雑な経緯を辿っていることがリアリティを持って書かれています。また永平寺における禅僧の修行の様子も克明に書かれていて、大変興味深く読みました。
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2012年07月04日

芸術起業論

芸術起業論 [単行本] / 村上 隆 (著); 幻冬舎 (刊)

村上隆氏のアート論。いまや日本を代表する芸術家であるムラカミ氏が、世界を相手にどう戦うかについて熱く述べています。彼は工房を率いて集団で作品を作るスタイルなので、ちょっと研究業界のPIを思わせます。自分と、自分の育った文化的背景から、いかにオリジナルな物をえぐり出すか、それを現在の世の中の文脈にどのように位置づけるかという方法論と、オブセッションは大変に刺激的です。幻冬舎は良い仕事をしたと思います。
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2012年06月29日

Impact Factor 2011

Impact Factor 2011が出たようですね。

今年の目玉は何と言ってもNature Communicationsではないでしょうか。一説にはPLoSに対抗するために出したなどと言われますが、1年目の被引用データはどう出たでしょうか。

Nat Commun 7.396

ほぼ予想どおりではないでしょうか?Nature Communicationsのサイトによれば、「Nature Communications には、科学の領域における質の高い論文が掲載されますが、必ずしも Nature や Nature 姉妹誌に掲載される論文ほど広範囲にわたる科学的影響力をもつ必要はありません。」ということ、さらに姉妹紙(IF10-30くらい)に掲載されなかった原稿も回ると言うことで、しかしNatureのブランドもあるし、このくらいでしょう。

さらに、今年のデータは、1年分のデータ(2009年に出版された論文が2010年に引用された回数)に基づいているので、来年はもう少し上がると予想します。私の予想は9.2と書いておきます。

Nature Publishing Groupの担当者は、IF10-20くらいを目指して創刊していると言っているので、この発言は少し「盛って」いるとして、だいたい彼らとしても思惑どおりなのではないでしょうか。このリンク先には、オープンアクセスと学術出版の未来についての出版社の方たちの議論がまとめられており、大変おもしろいです。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20120229/1330530968

あとは、目立ったところでは、Scienceの数少ない姉妹紙であるScience Signelingですが、去年もでていたんですかね?気がつきませんでしたが、数値が出て二年目のようです。

Sci Signal 7.499 増

<以下、具体的な数字は削除しました。>
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2012年06月28日

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.
J. Alberto Quartau (1985)
Boletim da Sociedade Portuguesa de Entomologia, suplemento No1
Actas do II Congresso Ibérico de Entomologia vol II. 359-371.

ポルトガルの昆虫学者Quartauによる昆虫の翅の起源に関するレビューで、内容としてはQuartau (1986)と重複する部分が多いのですが、こちらのほうが簡潔です。この原稿はサバティカル中に行われた研究を、学会発表用にまとめたもののようです。Paranotal theoryの側に立ち、おおむね常識的でしっかりとしたレビューです。
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2012年06月03日

生態進化発生学

生態進化発生学―エコ‐エボ‐デボの夜明け [大型本] / スコット・F. ギルバート, デイビッド イーペル (著); Scott F. Gilbert, David Epel (原著); 正木 進三, 竹田 真木生, 田中 誠二 (翻訳); 東海大学出版会 (刊)

原書はEcological Developmental Biologyで、まさか翻訳されるとは思っていませんでした。うれしい誤算です。

近年、エコデボとして注目されている、生態学と発生生物学の融合分野ですが、実際にどのような研究プログラムが進行しているのか(これは、必ずしも研究者がエコデボをやっているという自覚が無い場合も含め)、概観するのに極めて優れた教科書です。原書が第1版ということもあって、少し生煮えな部分、訂正が必要な部分もあるようですが、とにかくエキサイティング。エコデボに限らず、生物学の未来や今後なされるべき統合に興味のある方も必読だと思います。

ヨーロッパからアメリカに移った研究者のカメムシが変態しなくなった"paper factor"の話、双子の加齢による差異の拡大とメチル化の話、イタリアのソラマメ中毒とマラリアの話など、読み物としても優れ、また研究の実例としても重要なエピソードも多く取り上げられています。
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2012年06月01日

進歩への希望 科学の擁護

進歩への希望―科学の擁護 (1978年) [−] / P.B.メダワー (著); 千原 呉郎,...

引き続き、メダワーの著作を読んでいます。これはいくつかの講演、書評などを寄せ集めたものです。話題は、科学と文学、精神分析について、人類の遺伝的改良、医学研究所における動物実験、など。また、ワトソンの「二重らせん」に対する書評もすばらしいです。
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2012年05月20日

太陽を曳く馬

太陽を曳く馬〈上〉 [単行本] / 高村 薫 (著); 新潮社 (刊)

仏教教理問答でたびたび言及されていて、読まずにはいられなかった作品。

村薫氏の小説は初めて読んだのですが、その重厚さと、芸術や宗教に関する深い思弁を惜しみなくサスペンス仕立てにしてしまう気前の良さにただ感心しました。僧侶の交通事故をめぐって刑事と僧侶たちの間で繰り広げられる対話と駆け引きの中で、登場人物それぞれの宗教観、芸術観を語らせるという形をとりながら、それが著者による宗教批評になっているという趣向です。
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2012年05月05日

科学の限界

科学の限界 (地人選書) [単行本] / ピーター・ブライアン・メダウォー (著); 加藤 珪...

イギリスらしい、所々に皮肉の利いた、シャープな科学論です。メダウォー(Medawar、メダワー)はドーキンスの作品でよく紹介されているので、手に入るものは読んでおこうと思って集め始めました。
posted by シロハラクイナ at 12:38| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(翻訳もの) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする