生物学・科学に関する雑感。

現在ウィスコンシン・マディソンに研究留学中


2013年07月11日

現代思想 2012年11月臨時増刊号 総特集 チューリング

現代思想2012年11月臨時増刊号 総特集=チューリング [ムック] / アラン・チューリング, 円城 塔, 信原幸弘, 郡司ペギオ幸夫, 照井一成, ドミニク・チェン, 安西祐一郎, 柄沢祐輔, 池上高志, 鈴木誉保, 三浦岳, 新井紀子, 西垣 通, 佐藤文隆, 西川アサキ (著); 高橋昌一郎, 田中一之 (翻訳); 青土社 (刊)

こちらもいまさらですが、現代思想のチューリング特集号。鈴木さんによるモルフォゲンに関する論考もあり。勉強になります。
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2013年06月27日

論文の書き出し

論文を書かなければいけないのですが、なかなか書けません。特に本文の書き出しに苦労しています。小説では、はじめの一文が最も重要で、それゆえ書き出しが最もつらいとも言われます。

参考にしてみようと、過去の研究室の先輩方の論文の書き出しを集めてみました。この研究室では、だいたい狙いが大きいので、壮大なスケール感を持った書き出しが多いです。

Understanding the genetic origins of biological novelties remains one of the central quests of evolutionary biology.
壮大すぎて、研究を旅に例えちゃってます。questと聞くと、ドラクエを連想してしまいます。

The complex body colour patterns of reef fish, snakes and birds, to name just a few of the more vivid examples, are understood to have many roles in animal ecology, as well as forming some of the most beautiful designs in all of nature.
これは2010の私たちの論文ですが、見て分かるように明らかにボスが書いています。自然番組の冒頭って感じですね。

Three major challenges for understanding the genetic and molecular bases of morphological evolution are to identify loci underlying trait divergence, to pinpoint functional changes within these loci, and to trace the origin of functional variation in populations.
この分野における3つの挑戦というのを掲げて、全部解決してやるという強気な書き出し。

Chemical communication is widespread in the animal world.
これはちょっと散文的です。

Sexual dimorphism is widespread in the animal kingdom.
先ほどのと似ていますが、こちらがオリジナルでしょうか。

A long-standing question in evolutionary biology concerns the mechanisms through which morphology evolves.
これなんか、そのまま自分の論文に使えそうですが…。

これらを参考にしつつ、なんとか自力で書いてみたいと思います。
posted by シロハラクイナ at 03:53| シカゴ ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月20日

Impact Factor 2012 (インパクトファクター 2012)

Impact Factor 2012が出ましたね。もう速報性ではTwitterにかなわないですが、毎年恒例なので書いておきましょう。

今年の目玉は、

Scientific Reports 2.927

今年は1年目なので、来年はもう少し上がるでしょう。4.0くらいと予想しておきます。なんだか天気予報みたいになってきた。

昨年、今年のNat Communを9.2と予想しましたが、正解は10.015でした。 

有名どころ
Nature 38.597 増
Science 31.027 微減
Cell 31.957 微減
Nat Commun 10.015 増
P Natl Acad Sci USA 9.737 微増
PLoS ONE 3.730 減

生物学総合
PLoS Biol 12.690 増
Curr Biol 9.494 微減
BMC Biol 6.531 増
P Roy Soc B-Biol Sci 5.683 増

発生生物学
Dev Cell 12.861 減
Gene Dev 12.444 増
Development 6.208 減
EvoDevo 3.914 New
Dev Biol 3.868 減
Evol Dev 3.155 増
BMC Dev Biol 2.728 微減
Int J Dev Biol 2.614 減
Dev Dynam 2.594 微増
Dev Growth Differ 2.397 増
Mech Develop 2.383 減
J Exp Zool Part B 2.123 減
Dev Genes Evol 1.695 減

進化生物学
Evolution 4.864 減
J Evolution Biol 3.479 微増
BMC Evol Biol 3.285 減
Evol Biol 2.386 減
Ecol Evol 1.189 New

ゲノム科学
Genome Res 14.397 増
Genome Biol 10.288 増
Genome Biol Evol 4.759 微増
BMC Genomics 4.397 微増
Genomics 3.010 微減

生化学
J Biol Chem 4.651 減
FEBS J 4.250 増
FEBS Lett 3.582 微増
Biochem Bioph Res Co 2.406 微減

昆虫学
Insect Biochem Molec 3.234 微減
Insect Mol Biol 3.044 増
J Insect Physiol 2.379 増
Ecol Entomol 1.954 微減
Entomol Exp Appl 1.669 増
Arch Insect Biochem 1.515 増
Physiol Entomol 1.417 増
Insect Soc 1.331 減
Entomol Sci 0.981 増
J Insect Sci 0.875 減
Appl Entomol Zool 0.819 減

気になる雑誌
Naturwissenschaften 2.144 微減
Zool Sci 1.076 微増

順次書き足します。
posted by シロハラクイナ at 13:34| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月19日

現代思想 2012年8月号

現代思想2012年8月号 特集=生きものの<かたち> 構造・行動・色・模様 [ムック] / 養老孟司, 池田清彦, 中村桂子, 長沼毅 (著); 青土社 (刊)

このあいだ日本に行った時に書店で見かけて、いまさらながら読んでみましたが、当たりでした。沢山の著者の方たちがいて、テーマは哲学と生物学の境界であったり、あるいはまったくどちらでもなかったりするのですが、普段考えている生物学の外側が少し見えて、また、外から見た生物学はどんなものなのかも少し見えて、なかなか得難い読書体験でした。
posted by シロハラクイナ at 13:50| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(和書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月26日

Genome engineering of Drosophila with the CRISPR RNA-guided Cas9 nuclease.

Genome engineering of Drosophila with the CRISPR RNA-guided Cas9 nuclease.
Scott J. Gratz, Alexander M. Cummings, Jennifer N. Nguyen, Danielle C. Hamm, Laura K. Donohue, Melissa M. Harrison, Jill Wildonger and Kate M. O'Connor-Giles
Genetics Early Online May 24, 2013, doi: 10.1534/genetics.113.152710

そろそろ世界のどこかから出るだろうと思っていた、CRISPRのハエへの応用、まさかまさか、うちの隣のラボからでました。インジェクションのやり方を教えたのはうちのテクニシャンだし…。いつのまにやっていたのかという感じ。こういう仕事はやると決めたらスピードが大事ですね。

CRISPRというのはバクテリアから見つかっている獲得免疫の機構らしく、ウィルスのゲノムの一部を自分のゲノムに取り込んで、次に侵入があったときに、それを鋳型にウィルスゲノムを切断することで防御するもののようです。このシステムを応用して、ゲノムの特定の場所を切断、場合によってはそれを相同な配列と組み替えさせることでゲノム改変ができる、というアイディアで、すでに哺乳類の培養細胞や酵母では成功例があったので、ハエで使われるのも時間の問題でした。

この方法のメリットは、とにかく簡単で速いということだと思います。ターゲットの制約は、GGを含む配列であるということくらいです(ただし、まだyellowとrosyでしかテストされていないので、すべての遺伝子やその近傍で同じように働く保証はない)。とにかくゲノム改変のためには何らかの方法で特異性を持たせなければなりません。TALENやZFNは、DNA配列を認識するタンパク質の配列をデザインする必要があるのに対し、CRISPRで使われるRNAの配列というのは最も直接的で単純なので、外注する必要もないし時間もかからないので、普及のスピードは速いと予想します。

5/29 キーワードを追記します。CRISPR, CRISPE/Cas9, ショウジョウバエ, Drosophila, Zinc finger nuclease
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2013年05月20日

意識の探求 神経科学からのアプローチ

意識の探求―神経科学からのアプローチ (上) [単行本] / クリストフ・コッホ (著); 土谷 尚嗣, 金井 良太 (翻訳); 岩波書店 (刊)

意識とは何か、というのは脳科学の最も難しくかつ重要な問題のひとつと言われているそうです。著者のコッホは、クリック(*注1)とともに、意識の神経科学的基盤の解明に取り組んできた研究者です。

彼らは、NCC (Neural Correlates of Consciousness) 、つまり意識を生み出すのに充分な神経活動の単位を探ることを目標に、特に視覚意識(何が見えているか)に注目してきたそうです。NCCがあると仮定するということは、脳のどこかに意識の中心になる領域なり回路があるということで、これはデネット(*注2)が批判するカルテジアン劇場のようなものです。コッホはNCCを仮定した上で、今はその実体を科学的なアプローチで探索できるエキサイティングな時代であり、そうすべきというスタンスです。例えば視覚意識に関して言えば、後頭部にある皮質のV1(一次視覚野)は視覚のNCCに含まれないのはほぼ確かで、つまり大脳皮質の全体ではなく一部(おそらく下側頭葉の中やその周りのニューロンを含む)が意識形成の中心になっているはず、と述べています。

意識の問題のように長く議論されてきた課題を解決するためには、とにかく検証可能な仮説を立てて、それを科学的に検証するというスタイルが、唯一の現実的な手法であると私も信じますし、そういう意味では自然科学は最も実践的な哲学なのだと思います。

*注1 Francis Crick、The Astonishing Hypothesis(邦訳:DNAに魂はあるか)の著者で、もちろんDNAの二重らせん構造の提唱でも有名。

*注2 Daniel C. Dennett、Consciousness Explained (邦訳: 解明される意識 )など、とても字数の多い本で有名な人気哲学者です。
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2013年01月21日

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.

Wolbachia-mediated persistence of mtDNA from a potentially extinct species.
Dyer KA, Burke C, Jaenike J.
Mol Ecol. 2011 Jul;20(13):2805-17. doi: 10.1111/j.1365-294X.2011.05128.x. Epub 2011 May 20.

自分の研究しているショウジョウバエのグループで見つかった興味深い状況。Drosophila quinariaのミトコンドリアDNAには二つのタイプがあり、そのうちの一つは、すでに絶滅したらしい近縁種に由来し、Wolbachia(片利共生細菌)とともにquinariaの集団に入り込んできたものらしい。絶滅した種のDNAが多種から見つかるというのは、ちょっとロマンチックです。
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2013年01月04日

解明される宗教

解明される宗教 進化論的アプローチ [単行本] / ダニエル・C・デネット (著); 阿部文彦 (翻訳); 青土社 (刊)

宗教とは何か、どうして人は宗教を生み出し、信じ続けるのか、というとても扱いにくいテーマに正面から取り組んでいる、野心的な作品です。宗教を、人の媒介して複製され伝播する情報「ミーム」としてとらえ、競争の中で生き残る特性は何か、どのような状況下で人の考えを縛り操ることができるのか、また我々は宗教が強い影響力を持っている世界でどのように振る舞うべきか、かなり踏み込んだ議論が続きます。ただし、「はじめに」で著者自身が述べているように、特にアメリカの状況が念頭に置かれているために、主にキリスト教と、ユダヤ教、イスラム教についての言及が多いように思います。

自分がどのような信仰を持っているかによって、本書の捉え方はまったく異なると思います。私のように無宗教で自然科学の研究をしている者には、特に抵抗感はありませんが、文脈によっってはやや攻撃的すぎると感じる部分もあります。アメリカで生活していると、教会関係者や信者の人たちは、いわゆる「いい人」が多く、ボランティア活動などを通じて、地域コミュニティーに好ましい影響を与えているのを実感します。そのような明るい面もあるために、教義に矛盾があるとか、科学と両立しないからといって、簡単に無くせるものではありません。

(なお、これほどの作品を翻訳するのはとても大変であったろうとは思いますが、ところどころ誤訳が目につきます。読んでみてはっきりしない点は原著で確認されることをお勧めします。)
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2012年12月27日

シロアリの事典

シロアリの事典 [単行本] / 吉村 剛, 板倉修司, 岩田隆太郎, 大村和香子, 杉尾幸司, 竹松葉子, 徳田 岳, 松浦健二, 三浦 徹 (編集); 玉本 奈々 (イラスト); 海青社 (刊)

シロアリの事典の見本も届きました。事典とは言いつつも、中身は総説集のようになっています。日本のシロアリ研究を概観するのに最適です。私は4章の一部を10ページほど担当させていただきました。
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2012年11月16日

エコゲノミクス 遺伝子から見た適応

エコゲノミクス ―遺伝子からみた適応― (シリーズ 現代の生態学 7) [単行本] / 森長 真一, 工藤 洋 (著); 日本生態学会 (編集); 共立出版 (刊)

マクロ系の生物学の代表格である生態学に、近年急速に発達したゲノム生物学の知見を取り入れたものがエコゲノミクスです。本書は、生態学を遺伝子のレベルで扱っている研究者による分担執筆で、エコゲノミクスの概念から手法、研究例までを網羅した教科書です。

編集担当の森長さんに声をかけていただいて、私は17章「エボデボと新しい総合」を書きました。本書の中心となる話題から少しずれていることもあって(だから最終章なんでしょうが)、生意気にも、今後あるべき生物学の総合について語ったりしています。こういうものを書く機会があると、自分の引き出しの少なさ、表現力の乏しさなどを痛感させられますが、できるだけ率直に、自分が理解している学問分野の今を書いたつもりです。色々と反省点もありますが、後から読み返して、若かった自分をここに見ることができればと思います。それはともかくとして、全体としては、最新の知識、技法が満載なので、関連分野の研究者の方はもちろん、生態学に興味のある学生さんにもぜひ手に取って頂きたいと思います。発売日は12月12日です。

12/25追記
出版社より見本本を送って頂き、初めて現物を見て、通読しました(いくつかの章は事前に原稿を読ませてもらっていましたが、全部読んだのは初めて)。全体に、基本的な概念や手法の解説とともに、新しい技術の紹介が豊富で、現場に近い視点で書かれているという印象です。難易度は、学部学生向けということでしたが、研究者にとっても実用性が高いと思いました。私個人にとっては、とくにQTLをはじめ、手法の解説が詳しい5,6,7章が役に立ちそうです。

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2012年11月09日

食う寝る坐る永平寺修行記

食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫) [文庫] / 野々村 馨 (著); 新潮社 (刊)

日本から遠く離れて暮らしていると、日本っぽいものが読みたくなります。アメリカ社会には良い点、学ぶべき点も多くありますが、その消費文化、食文化に関しては、疑問に思うこともしばしばです。ハンバーガーにかぶりつく、車いすのおばあちゃんを見た日には、なおさらです。

アメリカの医療費はOECD諸国の中でも突出して高く、そのわりに平均寿命は低いです。また、明らかに肥満の人が多く、食べるものも含め、多くの人の生活スタイルに問題があるのは明らかです。食べ物の特徴は、肉が多く、糖分が多く(料理は甘め)、ひとりぶんの分量も非常に多いです。

これと対極にあるのが、永平寺の生活でしょう。食事はかなり貧しいようで、お粥やご飯、みそ汁を中心に副菜が少し、特に副菜の乏しさから脚気になる雲水(修行中の僧侶)が多いそうなので手放しにほめることはできないですが(この栄養バランスの悪さは著者が修行した当時のことなので現在は改善されているかも)、アメリカの食べ物に倦んだ私には魅力的に思えました。

ところで、結果がなかなか出ない時の研究は、修行に似ています。毎日、同じことの繰り返し。めぼしいことはなし。それでも、その行為自体に意味があるのでは、と思ってます。スランプも末期症状か。この先に何かあると信じています。
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2012年08月27日

A comparative analysis of the evolution of imperfect mimicry.

A comparative analysis of the evolution of imperfect mimicry.
Penney HD, Hassall C, Skevington JH, Abbott KR, Sherratt TN.
Nature. 2012 Mar 21;483(7390):461-4. doi: 10.1038/nature10961.

擬態に関する話。ハナアブは毒針を持たないのに、ハチに擬態することで鳥による捕食から逃れていると言われています。しかし、一部の種はハチに良く似ているのに、ちょっとしか似ていない種もいます。似ている方が捕食されにくいのなら、なぜちょっとしか似ていない種がいるのでしょうか。

これに関する仮説はいくつもあって、複数のモデルの中間に似せているからだとか、ヒトが見て似ていなくても鳥から見たら似ているだとか言われてきました。しかしこれらの仮説は、この論文の形態計測/ヒトによる類似性の評価/ハトによる類似性の評価のデータによって明確に否定されています。また、「血縁淘汰によって似すぎた擬態は不利になる」という説も、その仮説から予想されるはずの、個体数の多さと擬態の完成度の(負の)相関が見られなかったことにより、退けられています。

結局、ハナアブの種ごとの体サイズと擬態の完成度に正の相関が見られたことにより(系統関係を考慮した補正をしてもしなくても相関あり)、小さい種では捕食圧が低いために擬態のメリットが低いことが、擬態の不完全さの原因ではないかと結論しています。

もともと他の仮説は根拠が弱かったと思うので、この結論は妥当だと思います。しかし小さい種で擬態のメリットが低くても、よりモデルに似ていた方が捕食圧はさらに下がるわけですから、そうなっていないということは逆方向の淘汰圧…つまり擬態することに何かデメリットがあるはずです。それが、例えば、色素をつくるためのコストなのか、配偶相手の認識に支障がでるのか、その拘束の正体に興味があります。
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2012年07月25日

進化学事典

進化学事典 [単行本] / 日本進化学会 (編集); 共立出版 (刊)

ついに出た進化生物学のバイブル。頂き物です。分類群や概念を項目として、それぞれ2ページくらいずつ、事典としては長めの解説が書かれています。巨大な総説集ともいえる作りです。このようなスタイルだと、項目ごとの著者の個性も出て、読み物としてもなかなかです。
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2012年07月24日

Diversification of complex butterfly wing patterns by repeated regulatory evolution of a Wnt ligand.

Diversification of complex butterfly wing patterns by repeated regulatory evolution of a Wnt ligand.
Martin A, Papa R, Nadeau NJ, Hill RI, Counterman BA, Halder G, Jiggins CD, Kronforst MR, Long AD, McMillan WO, Reed RD.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jul 16. [Epub ahead of print]

ミューラー型擬態で有名なドクチョウの翅の黒い部分は、どうやらWntAによって規定されていることを示した論文。同種の異なったモルフを利用したマッピングでWntA領域に絞り込み、in situで翅原基でのWntAの発現パターンが成虫の着色と一致することを確かめた上で、Wnt系リガンドの拡散を促進する薬剤であるヘパリンの投与によって、模様の黒い部分が拡大することを示しています。現在の技術を使う限りでは実験は完璧だと思います。
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2012年07月16日

新リア王

新リア王 上 [単行本] / 高村 薫 (著); 新潮社 (刊)

「太陽を曳く馬」の前作にあたる長編小説。禅僧の息子と代議士の父の対話を通じて、1960-1980年代の青森の政治史を舞台に、大物政治家の最期までを描いた大作です。主な登場人物は創作ですが、自民党の大物政治家は実名で出てきます。六ヶ所村の核燃料サイクル関連施設が作られた経緯や、地方分権のありかたなど、今日につながる問題が、実は長く複雑な経緯を辿っていることがリアリティを持って書かれています。また永平寺における禅僧の修行の様子も克明に書かれていて、大変興味深く読みました。
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2012年07月04日

芸術起業論

芸術起業論 [単行本] / 村上 隆 (著); 幻冬舎 (刊)

村上隆氏のアート論。いまや日本を代表する芸術家であるムラカミ氏が、世界を相手にどう戦うかについて熱く述べています。彼は工房を率いて集団で作品を作るスタイルなので、ちょっと研究業界のPIを思わせます。自分と、自分の育った文化的背景から、いかにオリジナルな物をえぐり出すか、それを現在の世の中の文脈にどのように位置づけるかという方法論と、オブセッションは大変に刺激的です。幻冬舎は良い仕事をしたと思います。
posted by シロハラクイナ at 14:59| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍(和書) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月29日

Impact Factor 2011

Impact Factor 2011が出たようですね。

今年の目玉は何と言ってもNature Communicationsではないでしょうか。一説にはPLoSに対抗するために出したなどと言われますが、1年目の被引用データはどう出たでしょうか。

Nat Commun 7.396

ほぼ予想どおりではないでしょうか?Nature Communicationsのサイトによれば、「Nature Communications には、科学の領域における質の高い論文が掲載されますが、必ずしも Nature や Nature 姉妹誌に掲載される論文ほど広範囲にわたる科学的影響力をもつ必要はありません。」ということ、さらに姉妹紙(IF10-30くらい)に掲載されなかった原稿も回ると言うことで、しかしNatureのブランドもあるし、このくらいでしょう。

さらに、今年のデータは、1年分のデータ(2009年に出版された論文が2010年に引用された回数)に基づいているので、来年はもう少し上がると予想します。私の予想は9.2と書いておきます。

Nature Publishing Groupの担当者は、IF10-20くらいを目指して創刊していると言っているので、この発言は少し「盛って」いるとして、だいたい彼らとしても思惑どおりなのではないでしょうか。このリンク先には、オープンアクセスと学術出版の未来についての出版社の方たちの議論がまとめられており、大変おもしろいです。
http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20120229/1330530968

あとは、目立ったところでは、Scienceの数少ない姉妹紙であるScience Signelingですが、去年もでていたんですかね?気がつきませんでしたが、数値が出て二年目のようです。

Sci Signal 7.499 増

他の雑誌について追記していきます。まだまだ足して行きます。

CNS
Cell 32.403 横ばい
Nature 36.403 横ばい
Science 31.201 横ばい

Insect系
Insect Biochem Mol Biol 3.246 押し目
Insect Mol Biol 2.529 微減
J Insect Physiol 2.236 微減
Syst Entmol 2.943 増
Ecol Entomol 1.995 増
Entomol Exp Appl 1.535 増
Bull Entomol Res 1.882 高止まり
Arch Insect Biochem 1.361 減
Physiol Entomol 1.330 減
J Insect Sci 0.947 微減
Entomol Sci 0.673 微減


社会性昆虫
Insectes Soc 1.696 増
Sociobiology 0.618 増

Development系
Dev Cell 14.030 微増
Genes Dev 11.659 減
Development 6.596 減
Dev Biol 4.069 微減
Dev Dynam 2.536 減
Evol Dev 2.470 減
J Exp Zool Part B 2.416 下げ止まり?
Dev Growth Diff 2.210 微減
Dev Genes Evol 1.774 減

Genomics・分子進化系
Genome Res 13.608 微増
Genome Biol 9.036 増
Mol Biol Evol 5.550 微増
Genome Biol Evol 4.618 増
J Mol Evol 2.274 減

遺伝学
Genetics 4.007 微減
Heredity 4.597 微増
PLoS Genet 8.694 減
Genetica 2.148 減
J Hered 2.799 増

生態学
Ecology 4.849 微減
Funct Ecol 4.567 減
Mol Ecol 5.522 押し目
Mol Ecol Resour 3.062 増
Ecol Lett 17.577 増
Oikos 3.061 減
Oecologia 3.412 減
Ecol Res 1.565 増

総合誌
PLoS ONE 4.092 減
PNAS 9.681 微減
Naturwissenschaften 2.278 微増

生物学
PLoS Biol 11.452 微減
Curr Biol 9.649 減
P Roy Soc B 5.415 増
Biol Lett 3.762 増

進化・行動生物学系
Evolution 5.146 減
J Evol Biol 3.276 減
Anim Behav 3.493 増
Behav Ecol Soc 3.179 増
Behav Ecol 3.083 増
Am Nat 4.725 横ばい
Ethol Ecol Evol 0.743 増
J Ethol 1.183 回復

系統学
Mol Phylogenet Evol 3.609 減
Cladistics 5.250 減

生化学・分子生物学
EMBO J 9.205 減
J Biol Chem 4.773 減
Biochem J 4.897 減
FEBS J 3.790 増
FEBS Lett 3.538 微減
Biochem Bioph Res Co 2.484 減

BMCシリーズ
BMC Biology 5.750 増
BMC Genomics 4.073 微減
BMC Evol Biol 3.521 微減
BMC Dev Biol 2.790 下げ止まり?
BMC Genetics 2.475 微減
BMC Mol Biol 2.857 減

形態学
Zoomorphology 1.283 減
J Morphol 1.539 減
Arthropod Struct Dev 2.122 増

動物学
Zool J Linn Soc Lond 2.433 増
J Exp Zool Part A 1.642 増
Zool Sci 0.952 減
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2012年06月28日

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.

On some objections to the paranotal theory on the origin of the insect wings.
J. Alberto Quartau (1985)
Boletim da Sociedade Portuguesa de Entomologia, suplemento No1
Actas do II Congresso Ibérico de Entomologia vol II. 359-371.

ポルトガルの昆虫学者Quartauによる昆虫の翅の起源に関するレビューで、内容としてはQuartau (1986)と重複する部分が多いのですが、こちらのほうが簡潔です。この原稿はサバティカル中に行われた研究を、学会発表用にまとめたもののようです。Paranotal theoryの側に立ち、おおむね常識的でしっかりとしたレビューです。
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2012年06月09日

Canon MP-E65mm

Canon EFレンズ MP-E65mm F2.8 1-5Xマクロフォト マクロレンズ / キヤノン

生きたショウジョウバエの撮影には、このレンズを使っています。昨日のguttiferaの写真もこれで撮りました。sparnosさんのおすすめです。確かに、ショウジョウバエサイズには最適です。

組み合わせているカメラのボディはEOS Rebel T3という機種で、日本ではEOS kiss x50という機種に相当するようです(要は最もお手軽な機種です)。本体は軽いですが、レンズと、ストロボも付けるとかなり重く、しばらく撮影していると手が震えてきます。照明の方法、ショウジョウバエの置き方など、まだいろいろと試行錯誤しています。
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2012年06月08日

Drosophila guttifera

guttifera.JPG

Drosophila guttifera (和名なし)
Species group:quinaria
分布:アメリカ東部
餌:sugar food (野外ではキノコ)
挿し紙:不要
飼育難易度:中
posted by シロハラクイナ at 13:10| シカゴ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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